2022年度 第3回 ファイナンシャル・プランニング技能検定1級実技試験 Part2 (2023年2月4日) 過去問解説

Part2

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manabu

   

FP1級技能士、AFP、証券外務員、日商簿記2級。
日本FP協会 CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞
DTP・Webデザイナー・コンサルタントとして開業や副業のコンサルティング、FP試験のサポートを行っています。
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公開日 2023年3月11日 最終更新日 2023年6月10日

合格率1割の難関試験、FP1級学科試験。しかし、学科試験を合格しただけではFP1級技能士の称号は与えられません。
FP1級技能士としての資質が審査される。FP1級実技試験が待っています。

実技試験は学科試験と違い合格率8割以上です。だからといって油断していると足をすくわれます。
合格率1割の難関試験突破者が2割も落ちているんですよ。

1級学科の勉強を始める時に、2級や3級の問題集やテキストは本屋さんにたくさん置いてあるのに1級の本はほとんど置いてなく注文して購入した方も多いのではないでしょうか。
FP1級実技試験は学科試験以上に情報量が少なく、テキストも「きんざいの実技試験対策問題集」ほぼ一択です。

そんな、謎多きFP1級実技試験の過去問を解説します。

動画はこちら

試験当日の標準的なスケジュールは以下の通りです。

  1. 控室で待機(待機中は紙媒体の参考書等は見ることができます。電子機器は使えません)
  2. 設例を読む机に移動(約15分間設例を読みます。設例にメモやマーカで印をつけます)
  3. 面接試験室へ移動(心の準備ができたらノックして入室。約12分の口頭試問試験が始まります)
  4. 面接終了後、控室へ移動(次の試験まで待機)

設例を読むところから試験は始まっています。設例を読み理解することもトレーニングだと思って、タイマーを15分間セットしてメモをとりながら読んでみてください。


それでは、設例をお読みください。

2022年度 第3回 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級実技試験 Part 2 (2023年2月4日)

●設 例●
 Aさん(73歳)は、大都市圏近郊のS市内にある甲土地上の甲建物に1人で暮らしている。 甲土地と甲建物は、3年前に死亡した夫Bさんから相続により取得した。

 甲土地は、夫Bさんが40年前に父親の相続により取得したものである。また、甲建物は、夫Bさんが20年前に既存の家屋を取り壊し、2階建ての家屋に建て替えたものである。その際、夫Bさんは、「将来、甲土地の一部を売却するときのことを考えて、敷地の西側半分に建て、玄関は南側になるようにし、東側は庭と駐車スペースにしよう」と言っていた。

 Aさんと夫Bさんは、22年前に婚姻し、いずれも再婚であった。Aさんには離婚した前夫との間に子Cさん(50歳)がおり、夫Bさんには死別した前妻との間に子Dさん(50歳)と子Eさん(48歳)がいるが、それぞれ相手の子とは養子縁組をしていない。子Cさんは、隣のT市内に所有している戸建て住宅で妻子と暮らしており、S市に住む意向はない。

 なお、夫Bさんの相続時、遺言書はなく、遺産分割協議により、Aさんが甲土地と甲建物を、子Dさんと子Eさんが金融資産(各3,500万円)を相続した。夫Bさんが所有していた自家用車は、Aさんが普通免許を持っておらず、既に処分した。

 

【Aさんの所有財産の概要】

  • 現預金:1,000万円(収入は遺族年金を含む年金月額18万円)
  • 甲土地:地積270m²、形状は間口15m、奥行18mの長方形
  • 甲建物:鉄骨造2階建て、延べ面積100m²(1階部分80m²)、固定資産税評価額600万円

 

Aさんは、心身ともに健康で、周辺に友人も多く、甲建物で生涯を送りたいと考え、屋根や外壁の塗替え、バリアフリー対応や、洗面や風呂などの水回り設備の入替えなどのリフォームを行うべく、先日見積りを取ったところ、合計800万円かかるとのことであった。し かし、今後のことを考えて、手元の現預金は減らしたくないと考えている。
子Cさんは、Aさんの希望に沿ってできる限り力になりたいと思っているが、住宅ローンや教育費の負担があり、金銭的な支援は難しい状況にある。

 なお、甲土地は、地元の信頼できる不動産業者によれば、「現状有姿で、9,500万円(35万円/m²)程度で売却することができる。この地域では、100m²程度の整形地がおおよそ40万円/m²で売買されている」とのことである。

 

 Aさんは、リフォーム資金を工面するために庭部分を売却する場合、甲土地はどのような残し方をするべきか。また、できればこれからも広い庭で趣味の園芸を楽しみたいとの希望があり、庭部分を残したままリフォーム資金を調達して甲建物に住み続ける方法はないものか、FPであるあなたに相談することとした。

 

(FPへの質問事項)

  1. Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の①および②に整理して説明してください。
    ①Aさんから直接聞いて確認する情報
    ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報
  2. リフォーム資金を工面するために庭部分を売却する場合、甲土地のうち売却する部分と残す部分は、どのように分割すればいいと思いますか。
  3. Aさんの希望である庭部分を売却せずにリフォーム資金を調達して甲建物に住み続けるには、どのような方法が考えられますか。
  4. 本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

 

(注)設例に関し、詳細な計算を行う必要はない。

 

 

出典:一般社団法人金融財政事情研究会 1級学科試験、1級実技試験(個人資産相談業務) なお、当サイトの管理人は一般社団法人金融財政事情研究会のファイナンシャル・プランニング技能士センター会員のため許諾申請の必要なく試験問題を利用しています。参考:技能検定試験問題の使用について

○○と申します。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。
Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか?
 ①Aさんから直接聞いて確認する情報は、どのようなことですか?

①Aさんから直接聞いて確認する情報は、
不動産の取得費や取得日がわかる契約書等の資料があるかどうか。
駐車スペースは必要か。
庭部分のスペースはどれぐらい必要か。
住居部分のスペースはどれぐらい必要か。
リフォームではなく建て替えでもいいか。

②FPであるあなた自身が調べて確認する情報は、どのようなことですか?

②FP自身が調べて確認する情報は、
⑴現地確認として(外観、近隣状況、住人)
 土地・道路や交通量などの物理的状況などを、実際に現地で確認すること。

⑵権利関係として
 法務局で登記事項証明書や公図を請求し、土地の権利状況等を確認すること。

⑶法令上の制限として
 自治体の都市計画課等で、用途地域・都市計画等を確認し、今後の開発予定や周辺環境の変化などを把握すること。

⑷市場調査として
 バリアフリーや水回りのリフォーム事例や、
 甲土地周辺の取引事例を、地元の不動産業者等で確認します。


それでは、今あげた問題点を解決するためにどのような提案・方策が考えられますか?

リフォーム資金を工面するために庭部分を売却する場合、甲土地のうち売却する部分と残す部分は、どのように分割すればいいと思いますか。

甲建物を残したまま、甲土地を売却する場合は、売却後に甲建物が違反建築物とならないように分割することが必要です。
甲土地の一部を売却した後も、残った敷地が接道義務を満たしていることと、甲建物が残った敷地に対して、建ぺい率と容積率を満たしている事が最低条件となります。

具体的にはどのように分割しますか?

具体的には、甲建物の建築面積は80㎡で、甲土地の建ぺい率は50%なので、甲土地の残す部分は、地積を160㎡以上とし、接道義務を満たすために公道に2m以上接するような旗竿敷地とします。
売却部分は、それ以外の部分を調整して売却することになります。

甲土地の一部売却に対して、居住用財産を譲渡した場合の、3,000万円の特別控除の特例は適用できますか?

適用できません。

どうしてですか?

この特例を受けるためには、現在住んでいる自宅のすべてを解体し更地で売却しなければなりません。

解体した場合の要件はありますか?

解体した日から1年以内に売買契約を締結し、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することです。

ただし、建物解体後に、その土地を月極駐車場やコインパーキングとして貸し出すと、特例は適用できません。


Aさんの希望である庭部分を売却せずにリフォーム資金を調達して甲建物に住み続けるには、どのような方法が考えられますか?

リバースモーゲージが考えられます。

リバースモーゲージとは、どのような制度ですか?

リバースモーゲージとは、自宅を担保に資金を借入れ、死亡後に担保となっている自宅を売却して一括返済するローンです。

借入金の返済はどのように行いますか?

返済期間中は、元本の返済はなく、毎月の利息だけを返済していくことになります。


FP業務では、色々な専門職業家と連携することもあると思いますが、
今回のケースで関与する、専門職業家には、どのような方々がいますか?

不動産の取引に関する、課税上の具体的な税務相談は、税理士に、
売買契約等における、宅地建物取引業法に規定する業務については、宅地建物取引士に、
土地の所有権移転登記については、司法書士に、
正確な測量と境界の明示、登記については土地家屋調査士に、
測量に基づく適正な不動産価格の算定は不動産鑑定士と連携します。

質問は以上です。お疲れさまでした。

ありがとうございました。失礼いたします。


今回は、建築基準法、接道義務、建蔽率と容積率、リバースモーゲージに関する設例でした。

実技試験では、「設例に関し、詳細な計算を行う必要はない。」と記載してありますが、計算して答えるような質問もあります。

設例を読んでいる人が、電卓を叩いていると「計算する設例なのか! 計算間違えしたら嫌だなぁ」と余計なことを考えて不安になってしまいます。

筆記用具、マーカーなどと一緒に、学科試験から使っている電卓も用意しておいた方が安心ですね。

FP1級実技試験の難しさは「自分の言葉で相手に伝える」ことだと思います。何度も声に出して読み、お客様に説明するように話してみるといいと思います。

最後まで諦めずに実力を発揮できるように頑張りましょう!

ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Twitterにてお知らせください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が、FP1級技能士試験のご参考になれば幸いです。

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