2022年度 第2回 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級実技試験 Part 2 (2022年9月25日）過去問解説

それでは、設例をお読みください。

○○と申します。よろしくお願いします。

①Aさんから直接聞いて確認する情報は、
不動産の取得費や取得日がわかる契約書等の資料があるかどうか。
希望している有料老人ホームの条件。
今後のライフプラン。
Cさんとの関係は良好か。
生命保険の受取人等を確認します。

②FP自身が調べて確認する情報は、
⑴現地確認として（外観、近隣状況、住人）
　土地・道路や交通量などの物理的状況などを、実際に現地で確認すること。

⑵権利関係として
　法務局で登記事項証明書や公図を請求し、土地の権利状況等を確認すること。

⑶法令上の制限として
　自治体の都市計画課等で、用途地域・都市計画等を確認し、今後の開発予定や周辺環境の変化などを把握すること。

⑷市場調査として
　周辺の取引事例を、地元の不動産業者等で確認します。

遺言書がないと相続が発生した場合、法定相続人が被相続人の遺産を相続します。
Aさんの法定相続人は、妻Bさんと子Cさん。
妻Bさんの法定相続人は、Aさんと疎遠になっている2人の姉です。

妻Bさんの相続が発生した場合、妻Bさんの甲土地・建物の持分については、Aさんと2人の姉の共有不動産となり、Aさんの持分については妻Bさんと子Cさんの共有不動産となります。

共有名義の不動産は、自分の共有持分だけであれば独断で売却できますが、共有者全員の合意がないと不動産全体を売却することができません。
また、共有者の人数が多い場合は、手続きにかなりの手間がかかり、売却が難しくなる可能性があります。

売買契約にあたってAさんの持分は妻Bさんへ、妻Bさんの持分についてはAさんに相続させるといった遺言書を、それぞれ作成しておくことが必要です。

遺言の種類には普通方式として公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の３種類があり、一般的には公正証書遺言、自筆証書遺言で作成されます。

手書きで遺言書を作成することが難しい場合は、公正証書遺言で作成可能です。
公正証書遺言の場合、公証人が遺言者から聞いた内容を文章にまとめてくれるので、Bさんが手書きをする必要はありません。

公正証書遺言を作成する場合、公証役場に出向いて行うのが原則です。
ただし、遺言者が入院中や寝たきりで公証役場へ行くことが難しい場合、公証人に自宅や病院、施設等まで出張してもらうことも可能です。

自筆証書遺言とは、遺言者が手書きで行う遺言なので、代筆で作成した遺言は無効になってしまいます。
ただし、遺言書に添付する財産目録は、パソコンでの作成や遺言者以外の人が作成できます。

建築費に関するコストが上昇している要因は、建設業界の人手不足、働き方改革の推進、資材コストの上昇、新型コロナウイルスの影響、ウクライナ問題、円安の加速などが考えられます。

労働力が足りないと工期が延長になり、工事コストの上昇に繋がります。また、建設業界の高齢化が進み、職人の需要が高くなっているため人件費が高騰しています。

建築業界だけでなく日本全体で働き方改革などの影響もあり、労働環境やワークライフバランスの整備が進められています。
労働時間の制限や週休2日制により、工期が延びるため、工事コスト上昇の一因となっています。

世界規模での建設需要が高まり、今後も市場が拡大すると見込まれ資材コストが上昇しています。

新型コロナウイルスが起因となったウッドショックによって、住宅取得意欲が高まり世界的に木材の価格が高騰しています。

ロシアとウクライナでの紛争により、経済活動の停滞・遅延が、建築資材の高騰に繋がっています。

円安が加速すると日本は建材資材の多くを輸入に頼っているため、資材コストは上昇します。

不動産の取引に関する、課税上の具体的な税務相談は、税理士に、
売買契約等における、宅地建物取引業法に規定する業務については、宅地建物取引士に、
土地の所有権移転登記については、司法書士に、
正確な測量と境界の明示、登記については土地家屋調査士に、
測量に基づく適正な不動産価格の算定は不動産鑑定士に、
遺言書の作成は弁護士と連携します。

ありがとうございました。失礼いたします。