2022年度 第2回 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級実技試験 Part 2 (2022年9月24日)過去問解説

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きんざいが制作していたFP受検対策に関する書籍は、今後制作・販売されません。

そこで、僕が実技試験対策本をKindleで出版しました。

公開日 2024年1月15日 最終更新日 2024年2月1日

合格率1割の難関試験、FP1級学科試験。しかし、学科試験を合格しただけではFP1級技能士の称号は与えられません。
FP1級技能士としての資質が審査される。FP1級実技試験が待っています。

実技試験は学科試験と違い合格率8割以上です。だからといって油断していると足をすくわれます。
合格率1割の難関試験突破者が2割も落ちているんですよ。

1級学科の勉強を始める時に、2級や3級の問題集やテキストは本屋さんにたくさん置いてあるのに1級の本はほとんど置いてなく注文して購入した方も多いのではないでしょうか。
FP1級実技試験は学科試験以上に情報量が少なく、テキストも「きんざいの実技試験対策問題集」ほぼ一択です。

そんな、謎多きFP1級実技試験の過去問を解説します。

動画はこちら

試験当日の標準的なスケジュールは以下の通りです。

  1. 控室で待機(待機中は紙媒体の参考書等は見ることができます。電子機器は使えません)
  2. 設例を読む机に移動(約15分間設例を読みます。設例にメモやマーカで印をつけます)
  3. 面接試験室へ移動(心の準備ができたらノックして入室。約12分の口頭試問試験が始まります)
  4. 面接終了後、控室へ移動(次の試験まで待機)

設例を読むところから試験は始まっています。設例を読み理解することもトレーニングだと思って、タイマーを15分間セットしてメモをとりながら読んでみてください。

それでは、設例をお読みください。

2022年度 第2回 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級実技試験 Part 2 (2022年9月24日)

 会社員のAさん(46歳)は、勤務先の社宅(都心に所在、3LDK、70m²)で妻Bさん(45歳、専業主婦)と長女Cさん(19歳、大学生)との3人で暮らしているが、社宅が来年2月に売却されることが決まり、転居先を検討している。以前から庭付きの戸建て住宅に憧れがあったAさんは、4,000万円程度で購入できる物件を探していたところ、不動産業者から、都心からやや離れた郊外にある中古の戸建て住宅(甲物件)を紹介された。Aさんは、甲物件の広さや周辺環境には満足しており、通勤時間は今より1時間ほど延びてしまうが、会社が働き方改革の一環としてリモートワークを推進していることもあり、それほど問題はないと思っている。一方、妻Bさんは、都心から離れることにはやや抵抗があるが、昨今の住宅価格の動向から甲物件でもやむを得ないと思っている。

不動産業者によると、甲物件について、「現在住んでいる売主は、今年度中に転居する予定で、売出価格は5,000万円です。いつでも内見してもらってかまいません」とのことである。Aさんは、来月にも内見するつもりでいるが、住宅を購入するのは初めての経験であり、後日後悔することがないように、どのような点に注目して確認すればよいのか知りたいと思っている。また、妻Bさんとも十分に相談したいと思っている。

【甲物件(土地・建物)の概要】

  • 土地:第一種住居地域、地積300m²、固定資産税評価額2,000万円
  • 建物:木造2階建て、延べ面積120m²、4LDK、築15年、固定資産税評価額800万円
  • 売出価格:5,000万円
  • これまで大きな補修・修繕は特段行っていない。

Aさんは、先日、父親Dさん(72歳)に、住宅の購入を検討しているが、昨今の住宅価格の上昇もあり都心部で探すのは難しいこと、郊外の物件でも少し予算を超えてしまうことを話したところ、1,000万円程度の資金を援助してもよいとの申出を受けた。さらに、「投資用として都内に所有している賃貸マンション(3LDK)が先々月から空室となっているので、住んでもらってもかまわない。その際、家賃にはこだわらないが、将来の相続のことを考えたら、形式上、固定資産税・都市計画税程度の家賃で賃貸借したほうが税金面で有利かもしれない」とのことであったが、その方法に問題はないのかどうかAさんにはわからない。

【父親Dさんが所有している投資用マンションの概要】

  • RC造20階建て、総戸数270戸、築15年、最寄駅から徒歩7分
  • 物件は5階に所在、専有面積75m²、3LDK、時価8,000万円
  • 固定資産税・都市計画税は年間30万円、管理費・修繕積立金は月額25,000円
  • 月額賃料25万円で賃貸募集中であるが、周辺では賃貸マンションの供給が多く、成約するには募集賃料を引き下げる必要がありそうである。

(FPへの質問事項)

  1. Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の①および②に整理して説明してください。
     ①Aさんから直接聞いて確認する情報
     ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報
  2. 中古の戸建て住宅を購入するにあたって特に気をつけなければならない点について、土地部分と建物部分に分けて教えてください。
  3. Aさんが父親Dさんから住宅取得資金の贈与を受けた場合の課税関係を教えてください。
  4. 仮にAさんが父親Dさんが所有するマンションに固定資産税・都市計画税程度の家賃で居住し、父親Dさんの相続が開始した場合、当該マンションはどのように評価されるのか教えてください。
  5. 本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

(注)設例に関し、詳細な計算を行う必要はない。

出典:一般社団法人金融財政事情研究会 1級学科試験、1級実技試験(個人資産相談業務) なお、当サイトの管理人は一般社団法人金融財政事情研究会のファイナンシャル・プランニング技能士センター会員のため許諾申請の必要なく試験問題を利用しています。参考:技能検定試験問題の使用について

○○と申します。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。
Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか?
 ①Aさんから直接聞いて確認する情報は、どのようなことですか?

①Aさんから直接聞いて確認する情報は、
住宅購入について、優先することや、妻Bさんと長女Cさんの意向。
具体的な資金計画。
将来的なライフプランを確認します。

②FPであるあなた自身が調べて確認する情報は、どのようなことですか?

②FP自身が調べて確認する情報は、
⑴現地確認として(外観、近隣状況、住人)
 土地・道路や交通量などの物理的状況を、実際に現地で確認すること。

⑵権利関係として
 法務局で登記事項証明書や公図を請求し、土地の権利状況等を確認すること。

⑶法令上の制限として
 自治体の都市計画課等で、用途地域・都市計画等を確認し、今後の開発予定や周辺環境の変化などを把握すること。

⑷市場調査として
 周辺の取引事例を、地元の不動産業者等で確認し、提案は妥当かを確認します。


中古の戸建て住宅を購入するにあたって特に気をつけなければならない点について、土地部分と建物部分に分けて教えてください。

中古の戸建て住宅購入にあたって、土地部分で特に気をつけなければならない点は、安全性に関することとして、地盤の強さ、土壌汚染、過去の災害時の被害に関すること。
建築関連の法的な規制として、その土地が都市計画法、建築基準法でどのように規制されているかということ。
住環境面として、日当たり、風通し、騒音、ニオイに関することに気をつけます。

それらはどのようにして確認しますか?

建築関連の法的な規制は、土地資料に書いてあることもありますが、詳しいことは自治体の都市計画課等で確認します。
安全性に関することは、ハザードマップや気象庁・国土交通省のホームページ、近隣の方からの経験談などで確認します。
住環境面は、道路や交通量、近隣施設などを実際に現地で確認します。

中古の戸建て住宅を購入するにあたって、建物部分で特に気をつけなければならない点について、教えてください。

中古の戸建て住宅購入にあたって、建物部分で特に気をつけなければならない点は、建物が旧耐震基準で建てられているかどうか、敷地の接道義務を満たしていないなどの理由で建て替えや増改築ができなかったりしないか、建ぺい率・容積率などに違反していないか注意が必要です。

また、建物そのものに関することとして、外観は屋根や外壁、基礎といった建物の構造的な部分と、設備に関することとして、建具の立て付けや 壁にはクロスの剥がれやひび割れが起きていないかどうか、雨漏りの染みができていないか、水回りは下水から上がってくるニオイがないかどうか、水漏れはないかどうかを確認します。

それらはどのようにして確認しますか?

旧耐震基準とは、1981年6月1日よりも前に、建築物の設計に適用されていた耐震基準のことです。
建物の建築時期や築年数を確認して1981年以前であれば旧耐震基準となります。

接道義務とは、建築物の敷地が原則として幅員4mの建築基準法上の道路に、2m以上接していないと建物を建てることはできず、接道義務を満たしていない土地にすでに建物がある場合は、増築や再建築は禁止されています。
道路の調査は、公図や現地確認において接道していることを確認し、その道路が建築基準法上の道路かどうかを、自治体の建築関係の部署で確認します。

違法建築かどうか、建築基準法に適合するかどうかを、確認済証と検査済証で確認します。
確認済証とは、建物の工事に着手前に、その計画が建築基準法に適合するかどうかを審査し適合した場合に交付される証明書です。
検査済証は、工事完了後に検査し、建築確認申請と同じ建物が建っていると判定された建物に交付される証明書です。

外壁や基礎などの劣化状況や補修が必要な箇所をホームインスペクターに依頼し、物件に関して第三者の視点で客観性をもって確認します。


Aさんが父親Dさんから住宅取得資金の贈与を受けた場合の課税関係を教えてください。

父親Dさんから住宅取得資金として贈与を受けた場合、取得する住宅が省エネ等住宅の場合で1,000万円、それ以外の住宅の場合は、500万円まで非課税になります。

要件を教えてください。

両親、祖父母からの贈与であること。
贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること。
贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された資金の全額を住宅新築・購入・リフォーム等に充て、12月31日までにその家屋に居住すること。
家屋の床面積が40㎡以上240㎡以下で、床面積の半分以上が居住用に利用されることなどです。

取得する住宅が中古住宅の場合は、現行の耐震基準に適合していることが求められます。


仮にAさんが父親Dさんが所有するマンションに固定資産税・都市計画税程度の家賃で居住し、父親Dさんの相続が開始した場合、当該マンションはどのように評価されるのか教えてください。

固定資産税・都市計画税程度の家賃の場合、固定資産税や都市計画税は通常の必要費にあたり、Aさんが父親Dさんの所有するマンションを借りた場合、賃貸借契約ではなく、使用貸借契約となります。
使用貸借契約では借地借家法が適用されず、借地権は発生しないので土地は自用地評価、建物も通常の建物評価となります。

将来の相続のことを考えたら、形式上、固定資産税・都市計画税程度の家賃で賃貸借したほうが税金面で有利かもしれないと考えたのは、どういった点からだと思いますか?

マンションの一室を賃貸している場合の相続税評価額は、建物は貸家として、固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)土地は貸家建付地として、自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)で計算します。

賃貸割合は空室があった場合、その空室部分は分子に含めることができないため、評価減ができません。

賃貸マンションが空室の場合は、賃貸割合が減り、相続税評価額の総額は増えることになるので、形式上、固定資産税・都市計画税程度の家賃で賃貸借したほうが税金面で有利かもしれないと考えたのだと思います。


FP業務では、色々な専門職業家と連携することもあると思いますが、
今回のケースで関与する、専門職業家には、どのような方々がいますか?

不動産の取引に関する、課税上の具体的な税務相談は、税理士に、
売買契約等における、宅地建物取引業法に規定する業務については、宅地建物取引士に、
土地の所有権移転登記については、司法書士に、
正確な測量と境界の明示、登記については土地家屋調査士に、
測量に基づく適正な不動産価格の算定は不動産鑑定士に、
外壁や基礎などの劣化状況など、住宅診断については、建築士の資格を保有しているホームインスペクターと連携します。

質問は以上です。お疲れさまでした。

ありがとうございました。失礼いたします。


今回の設例は、中古住宅の購入、住宅取得資金等贈与、賃貸マンションの相続税評価に関する設例でした。

不動産を売却する設例が多いのですが、今回は購入する設例でした。

FP1級実技試験の難しさは「自分の言葉で相手に伝える」ことだと思います。何度も声に出して読んだり、二人で読み合わせをするなど、お客様に説明するように話してみるのも効果的です。

最後まで諦めずに、FP1級学科試験合格者としての実力を発揮できるように頑張りましょう!

ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Twitterにてお知らせください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が、FP1級技能士試験のご参考になれば幸いです。

    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、証券外務員、日商簿記2級。
日本FP協会 CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞
DTP・Webデザイナー・コンサルタントとして開業や副業のコンサルティング、FP試験のサポートを行っています。
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