2021年〜2023年 FP1級実技試験の出題数ランキング Part2編 【相続空き家の特例】

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きんざいが制作していたFP受検対策に関する書籍は、今後制作・販売されません。

そこで、僕が実技試験対策本のKindle版セット版を制作しました。

公開日 2024年1月26日 最終更新日 2024年2月5日

FP1級実技試験の過去問を何年分も解いていると、何度も出題されている問題があります。

旬な話題や制度改正の問題など一期一会の問題もありますが、学科試験と同じように何度も繰り返し出題される、定番の問題があります。

過去問題を繰り返し解く勉強方法は、学科試験に限らず、実技試験対策にも有効な勉強方法の一つです。

設例を読んでみて、ドキッとするような内容も多いFP1級実技試験でも定番問題があり、定番問題を確実に正解することがポイントです。

そこで、2021年6月から2023年9月までに実施された、FP1級実技試験の設例をもとに出題数を集計してみました。

実技試験の出題ランキング Part2編

実技試験の出題ランキング Part2
 (2021年6月試験〜2023年9月試験までの34日分の設例を独自に集計)

第1位 相続空き家の特例

実技試験の出題ランキング1位(Part2)は、空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例(以下、相続空き家の特例)です。

相続空き家の特例は、学科試験の基礎編では「2022年5月」「2022年9月」に出題されているものの、応用編での出題は「2023年9月」に譲渡所得の計算問題として出題されていましたが、穴埋め問題の出題はありません。

学科試験の時は、あまり重要視しなかったのかもしれません。

FP1級実技試験の設例あるある

相続空き家の特例が、どのような内容で設例に記載されているかというと、母親Bさんの自宅であるX建物および空き家であったY建物と、それぞれの敷地である甲土地を相続により取得していたり、父親が1年前に要介護認定を受けて特別養護老人ホームに入所して以来、実家が空き家となっていたり、Part2でのAさんは、なにかと老朽化が進んでいる空き家を相続します。

そこで、Aさんの悩み事や問題点を解決するために、相続空き家の特例についてアドバイスをします。

FP1級実技試験での相続空き家の特例のポイント

FP1級実技試験で、相続空き家の特例についてのポイントは、次の3つです。

  • 相続空き家の特例の概要
  • 他の特例との重複適用
  • 令和5年度税制改正

相続空き家の特例の概要

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例とは、相続又は遺贈によって空き家及びその敷地を取得した相続人等が、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで(なおかつ特例の適用期間内)に、「被相続人居住用家屋(又は家屋及びその敷地)」あるいは「被相続人居住用家屋の敷地等」を売却し、一定の適用要件を満たす場合、その売却に係る譲渡所得金額から、最大3,000万円を控除できる特例のことです。

簡単にいうと、相続した不動産を売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例です。

控除が受けられる対象の不動産
  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物でないこと
  • 被相続人の居住用家屋の敷地として使われていたこと
  • 相続開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた者がいないこと
  • 被相続人が老人ホーム等に入居する直前において、被相続人以外に居住をしていた者がいないこと

空き家特例の対象となるのは、あくまでも居住用家屋の敷地です。倉庫や車庫、離れなどの敷地は、居住用家屋と一体として使用している場合であっても対象外となります。

設例では、父親が1980年(昭和55年)に新築していたり、母親Bさんは老人ホームに入居し、母親Bさんの相続開始直前において空き家になったりしているので、見落とさないように注意しましょう。

適用するための要件
  • 譲渡人が、相続または遺贈により空き家を取得したこと
  • 相続のときから譲渡のときまで事業、貸付け、居住などに使用しておらず、譲渡時に空き家が一定の耐震基準を満たすこと
  • 相続のときから譲渡のときまで事業、貸付け、居住などに使用しておらず、取り壊し後にほかの建物や構築物などを建築していないこと
  • 相続開始から3年を経過した年の12月31日までに売ること
  • 売却代金が1億円以下であること(相続人が複数の場合は1人につき1億円ではなく、合算した売却代金が1億円以下であること)
  • 売った空き家等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など、ほかの特例の適用を受けていないこと
  • 同一の亡くなった人からの相続または遺贈により取得した空き家等について、空き家特例の適用を受けていないこと
  • 空き家等の売却先が親子や夫婦など特別の関係がある人でないこと
学科試験の内容

2022年5月の学科試験では、特例の適用を受けることができるかどうかという問題でした。

  • 相続によって取得した時価1億5,000万円の敷地を分筆し、一方の敷地を7,500万円で譲渡し、残りの敷地を事業用借地権により賃貸した場合。
  • 被相続人が生前、老人ホームに入居していた場合。
  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用を受けている場合。

売却代金が1億円以下であることの要件は、元々の敷地が1億円を超えていたとしても、分筆後の売却代金が1億円以下の場合には適用できます。

老人ホーム等への入居に関しては、要介護認定・要支援認定を受けて老人ホーム等に入居していないと対象外となります。

他の特例との関係ですが、小規模宅地の特例や、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除、居住用財産の買換え特例とは併用可能ですが、3,000万円の特別控除と併用する場合、特別控除は合わせて3,000万円が限度となります。

また、相続財産譲渡時の取得費加算の特例とは選択適用で、併用することはできません。

学科試験で出題されている内容は、実技試験でも質問されると思って、学科試験後も知識レベルを維持しておくことが重要です。

出典:国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)他の税制との適用関係

令和5年度税制改正

令和5年度税制改正のポイントは次の3つです。

  • 適用期限が令和9年12月31日まで4年間延長
  • 耐震リフォーム要件の緩和
  • 相続人が3人以上いる場合の上限額が2,000万円へ減額

改正前の相続空き家の特例を適用できる期間は、平成28年4月1日~令和5年12月31日まででしたが、令和5年度税制改正により4年延長され、適用期限が令和9年12月31日までとされました。

改正前は、譲渡時に空き家を取り壊したり、一定の耐震基準を満たす必要がありましたが、改正後は、譲渡日の属する年の翌年2月15日までに、譲受側によって取り壊しや耐震リフォームを行えば良いこととなり、適用要件が緩和されました。

しかし、改正前は、相続人が複数名いる場合であっても、控除額はそれぞれ3,000万円ずつだったのが、改正後は、相続人が3人以上いる場合は、控除額が1人あたり2,000万円に引き下げられます。

学科試験もですが、FP試験では改正ものが多く出題されます。

期限のある制度は、知識をアップデートしておきましょう。

ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Twitterにてお知らせください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんのFP1級技能士試験合格を願っています。

    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、J-FLEC認定アドバイザー。
日本FP協会 CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞
DTP・Webデザイナー・コンサルタントとして開業や副業のコンサルティング、FP試験のサポートを行っています。
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