FP試験問題 ポートフォリオの標準偏差とパフォーマンス分析を解説します

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きんざいが制作していたFP受検対策に関する書籍は、今後制作・販売されません。

そこで、僕が実技試験対策本をKindleで出版しました。

開催年度別に3回分を一冊にまとめたPDF版はこちら

公開日 2021年4月5日 最終更新日 2022年4月20日

FP1級試験の勉強を始めても、出題範囲が広すぎて何から手をつけていいのかわからなかったり、せっかく覚えても忘れてしまい心が折れることってありませんか?

このサイトでは、私が実践し得点が倍増した勉強方法についてご紹介します。

今回はC. 分野金融資産運用からポートフォリオの標準偏差の計算問題です。

  《問54》 《問55》 《問56》
2022年1月 理論株価の説明計算 6点
  1. 固定長期適合率の計算
  2. インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
6点 上場株式の配当の説明 8点
2021年9月
  1. ROEの説明と計算
  2. インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
  3. 配当性向の計算
10点
  1. サスティナブル成長率の計算
  2. 使用総資本事業利益率の計算
6点
  1. 損益分岐点比率の計算
4点
2021年5月
  1. 自己資本当期純利益率の計算
  2. 自己資本当期純利益率の3指標分解の説明
  3. 使用総資本回転率の計算
  4. 売上高当期純利益率の計算
  5. 配当性向の計算
  6. 配当利回りの計算
7点
  1. インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
5点
  1. 株式取引の説明
8点
2021年1月
  1. NISAの説明
6点
  1. 自己資本当期純利益率の計算
  2. インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
7点
  1. シャープレシオの計算
  2. ポートフォリオの標準偏差の計算
7点
2020年9月
  1. 純資産経常利益率の計算
  2. 売上高経常利益率の計算
  3. 純資産回転率の計算
  4. インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
  5. サスティナブル成長率の計算
5点
  1. 損益分岐点比率の計算
7点
  1. 米ドル建て債権の所有期間利回りの計算
8点
2020年1月
  1. 自己資本当期純利益率の計算
  2. 自己資本当期純利益率の3指標分解の説明
  3. 使用総資本回転率の計算
  4. インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
  5. PERの計算
  6. PBRの計算
  7. 配当性向の計算
8点
  1. 使用総資本事業利益率の計算
6点
  1. ポートフォリオの期待収益率の計算
  2. ポートフォリオの標準偏差の計算
6点
2019年9月
  1. 株式取引の説明
  2. NISAの説明
8点
  1. サスティナブル成長率の計算
  2. インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
6点
  1. 米ドル建て定期預金の利回りの計算
6点
2019年5月
  1. 純資産計上利益率の計算
  2. 売上高経常利益率の計算
  3. 総資産回転率の計算
  4. インタレスト・カバレッジ・レシオの説明
  5. 配当性向の計算
  6. 配当利回りの計算
6点
  1. 自己資本当期純利益率の計算
  2. 使用総資本事業利益率の計算
6点
  1. 上場株式の配当の課税上の取り扱いの説明
8点

ROE インタレストカバレッジレシオ ポートフォリオの標準偏差 その他の計算問題
 FP1級学科試験 応用編《C分野の計算問題》 (2022年9月開催〜2019年9月まで 7回分を集計)

ポートフォリオの期待収益率と標準偏差の計算問題は、FP1級試験の応用編で過去8回のうち2回出題されています。

以前は、米ドル建て預金の利回り計算と交互に出題されていたのですが、2021年5月、2021年9月、2022年1月と3回続けて出題されなかったので、次の試験では出題されるかもしれません。

出題パターンは、期待収益率と標準偏差の組合せか。シャープレシオと標準偏差の組み合わせで出題されていますので、標準偏差の計算は確実にできるように繰り返し勉強しましょう。

まずはFP1級のテキストを見てください。
証券Aと証券Bに7:3で投資するポートフォリオの期待収益率を求める場合、FP1級のテキストには

 (R%×0.7+r%×0.3)×(R1・r1となる確率)+・・・
 R=証券Aの予想収益率 r=証券Bの予想収益率

と、書かれています。 サッパリわかりません(笑)

資産運用の仕事をされている方でも、実際に標準偏差やシャープレシオ、期待収益率等を電卓で計算してお客様に説明したことがある方は少ないのではないでしょうか?

私もお客様に説明するときは、PCやタブレットで説明するので実際に電卓で計算したことはありませんでした。

最初、テキストで計算式を見たときは、どんな順番で電卓に入力したらいいかすらわからないぐらいのレベルでしたが、

何度も問題を解くことで、自分なりに計算パターンや順序を整理でき試験では無事に解答することができました。

試験以外ではあまり使うことがなくあまり馴染みのない計算式ですが、覚えるには二つのポイントがあります。

一つはステップ式で解くこと、もう一つはグループ化することです。

それでは、過去問を解きながら解説していきます。

問題を見る必要がない方は問題を飛ばして解説とポイントからお読みください。

ポートフォリオの標準偏差とパフォーマンス分析の問題 2021年1月24日試験 応用編 《問56》

《設例》の〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・相関係数〉に基づいて、

①Yファンドのシャープ・レシオと

②YファンドとZファンドをそれぞれ6: 4の割合で購入した場合のポートフォリオの標準偏差を、

それぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第 2位までを解答すること。なお、シャープ・レシオについては、安全資産利子率を0.10%として計算すること。

 

出典:一般社団法人金融財政事情研究会 1級学科試験、1級実技試験(個人資産相談業務) なお、当サイトの管理人は一般社団法人金融財政事情研究会のファイナンシャル・プランニング技能士センター会員のため許諾申請の必要なく試験問題を利用しています。参考:技能検定試験問題の使用について


ポートフォリオの標準偏差とパフォーマンス分析の問題 2021年1月24日試験 応用編 《問56解答と解説》

シャープレシオ

①Yファンドのシャープ・レシオ

(2.00%−0.10%) 4.50% =0.42%

 〈答〉 ① 0.42%(小数点以下第3位四捨五入)

〈解説〉

シャープ・レシオ= (ポートフォリオの収益率−無リスク資産利子率) ポートフォリオの収益率の標準偏差


ポートフォリオの標準偏差

②ポートフォリオの標準偏差

 0.6²×4.50²+0.4²×8.50²+2×0.6×0.4×0.5×4.5×8.50=9.67

 √9.67=3.11%

 〈答〉 ② 3.11%(小数点以下第3位四捨五入)

〈解説〉

相関係数を用いた標準偏差

 Yの割合² ×Yの標準偏差² +Zの割合² ×Zの標準偏差² +2×Yの割合×Zの割合×Yの標準偏差×Zの標準偏差×相関係数

長すぎるのでまとめます

 (Yの割合² ×Yの標準偏差² )+(Zの割合² ×Zの標準偏差² )+(2×Yの割合×Zの割合×Yの標準偏差×Zの標準偏差×相関係数)

〈解説とポイント〉

パフォーマンス分析

パフォーマンス分析の問題では長い計算式が出てきますが、よく見ると似たような式が多いのでまとめて覚えるのが効率的です。

 ⅰ. シャープ・レシオ= (ポートフォリオの収益率−無リスク資産利子率) ポートフォリオの収益率の標準偏差

 ⅱ. トレイナー・レシオ= (ポートフォリオの収益率−無リスク資産利子率) ポートフォリオのβ差

 ⅲ. インフォメーション・レシオ= (ポートフォリオの収益率−ベンチマークの収益率) トラッキングエラー

 ⅳ. ジェンセンのアルファ=ポートフォリオの収益率−CAPMによる収益率

4つのパフォーマンス分析の式ですが、並べてみるといずれもポートフォリオの収益率から計算式が始まります。さらに、シャープレシオとトレイナーレシオは無リスク資産利子率まで一緒です。

計算式そのものは引いて割るだけなので、どこに何が入るのかを整理すると覚えやすいです。


標準偏差

標準偏差を求める計算問題は相関係数を用いる場合と、期待収益率から求める問題があります。

相関係数を用いた標準偏差

 Yの割合² ×Yの標準偏差² +Zの割合² ×Zの標準偏差² +2×Yの割合×Zの割合×Yの標準偏差×Zの標準偏差×相関係数

長すぎるのでまとめます

 (Yの割合² ×Yの標準偏差² )+(Zの割合² ×Zの標準偏差² )+(2×Yの割合×Zの割合×Yの標準偏差×Zの標準偏差×相関係数)


期待収益率から求める標準偏差

YファンドとZファンドをそれぞれ6: 4の割合で購入した場合のポートフォリオの標準偏差

生起確率Yファンドの予想収益率Zファンドの予想有益率
シナリオ120% 10% 5%
シナリオ250% 15% 0%
シナリオ330%▲10%20%

⑴. ポートフォリオの期待収益率を求める

  (10%×0.6)+(5%×0.4)×0.2=1.6

  (15%×0.6)+(0%×0.4)×0.5=4.5

  (▲10%×0.6)+(20%×0.4)×0.6=0.6

  1.6+4.5+0.6=6.7%

⑵. シナリオ別の予想収益率を求める

  シナリオ1 (10%×0.6)+(5%×0.4)=8%

  シナリオ2 (15%×0.6)+(0%×0.4)=9%

  シナリオ3 (▲10%×0.6)+(20%×0.4)=2%

⑶. シナリオ別の分散を求める

  シナリオ1 (8%-6.7%)²×0.2=0.338

  シナリオ2 (9%-6.7%)²×0.5=2.645

  シナリオ3 (2%-6.7%)²×0.3=6.627

  0.338+2.645+6.627=9.61

⑷. 標準偏差を求める

  √9.61=3.10

  ポートフォリオの標準偏差 3.10%


期待収益率から標準偏差を求める場合、極端な例で言うと、

この4段の式の□を埋めることで解けます。
⑴. (□×0.6)+(□×0.4)×□=□
  (□×0.6)+(□×0.4)×□=□
  (□×0.6)+(□×0.4)×□=□
  □+□+□=🅐

⑵. (□×0.6)+(□×0.4)=🅑
  (□×0.6)+(□×0.4)=🅒
  (□×0.6)+(□×0.4)=🅓

⑶. (🅑-🅐)²×□=□
  (🅒-🅐)²×□=□
  (🅓-🅐)²×□=□
  □+□+□=🅔

⑷.√🅔=標準偏差

応用編の問題を解く場合は計算過程の記載が不要な問題でも必ずノートに体裁を揃えて書くようにしています。

何回も同じような問題を同じような体裁に揃えて記載することで視覚や体で覚えることもでき、計算ミスを防ぐこともできます。それに丁寧に計算過程を書くことで少しでも部分点のアピールになればとも思います。

私が実際に使っていた用紙です。

画像をクリックすると拡大します。 注)間違っている箇所もあります(赤字)

まとめ

標準偏差やパフォーマンス分析の計算式の理屈を、完璧に理解できなくても試験問題を解くことはできます。

標準偏差やポートフォリオ分析ををお客様に説明することはあっても、計算式を説明することは多分ありません。

計算式の理屈までわかった方がいいんでしょうけど、あまり計算式は実務では必要ありません。(タブレットやPCがやってくれます)

ただ、試験に合格しないとFP1級技能士の称号はもらえません。試験は試験と割り切って、理解できてないところは合格後に理解できるように継続的な勉強をしたほうがいいと思います。

FP業務は日々勉強し続けなければなりません。合格した後も勉強は続きます。試験問題を完璧に理解して解くことができても勉強し続けないと情報が古くなり、お客様対応時には使えない知識になっている可能性もあります。

最後まで諦めずに実力を発揮できるように頑張りましょう!

ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Twitterにてお知らせください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が、FP1級技能士試験のご参考になれば幸いです。

    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、証券外務員、日商簿記2級。
日本FP協会 CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞
DTP・Webデザイナー・コンサルタントとして開業や副業のコンサルティング、FP試験のサポートを行っています。
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