FP1級実技試験で設例を読んでメモしておくポイント【Part1編】

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公開日 2021年9月20日 最終更新日 2021年9月20日

勉強を始めても学科試験と違い、どのように勉強を進めていけばいいのか、わからない方も多いのではないでしょうか?

私も学科試験の後、自己採点で学科試験合格の手応えはありましたが、実技試験の勉強を始めたのは合格発表で確実に合格したことを確認してからでした。

しかし、実技対策問題集を開いてみたものの、何をどう勉強していいのかわからず、合格率80%以上の実技試験とはいえ自分が不合格の20%になってしまうのではないかと不安になってしまいました。

FP1級実技試験の採点基準については公表されていませんが、実施要項によると「顧客のニーズおよび問題点の把握」「問題解決策の検討・分析」「顧客の立場に立った対応」「関連業法との関係および職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング」といった観点から採点が行われるとあります。

合否通知書を見てみると、分野別得点として「A.顧客の問題点の把握」「B.問題解決策の検討分析」「C.顧客の側に立った対応」「D.FP倫理と法令遵守」の4分野に分けて採点されていることがわかります。

実技試験では設例を読む時間がとても重要です。

どんな内容なのか、どんな悩み、相談なのかを理解すること。次に、どのような質問が投げかけられるかを考えながら設例用紙にメモやマーカーを引きます。

何をメモしてマーカーするのかを理解していなければ、設例が頭に入らず設例を読む貴重な15分間がテンパってしまい、わかっているのに答えられないということになりかねません。

私が実技試験学習の際に作成した設例のポイントをまとめましたので紹介します。

今回は、Part1編です

A. 顧客の問題点の把握 顧客のニーズおよび問題点の把握

設例を読む15分間が過ぎると、試験官から面接室へ案内されます。

挨拶が終わると、質問者から最初の質問が投げかけられます。

設例をじっくり読んだと思いますが、Aさんの相談内容と問題点について項目だけで構いませんので全てあげてください。

最初に質問されるのは、A.顧客の問題点の把握 顧客のニーズおよび問題点の把握です。

この質問はFP試験というよりも、文章力・読解力の問題です。設例をじっくり読みAさんの問題点、ニーズは何かを把握します。

いろいろなAさんが登場するので全て該当するわけではありませんが、設例を読む際にマーカーやメモを取るポイントは5つあります。

①円滑な遺産分割

相続人が複数人いる場合は、今は良好な関係でも必ず問題点として上がります。

  • 相続で揉めないか悩んでいる
  • 遺留分相当の財産を要求されそうで悩んでいる
  • 相続人間の格差や、後継者と他の相続人とのバランスで悩んでいる

②納税資金の確保

Aさん自身は納税資金不足は悩んでいないが、結果的に納税資金不足になる場合がほとんどです。

  • 相続税の納税資金不足で悩んでいる。
  • 相続財産に占める金融資産が少なくて悩んでいる。

③相続税の軽減対策

Aさん自身が気づいている場合は、所得税が高額で法人化を検討する設例が出題されています。

  • 相続税・所得税負担が高額で悩んでいる。

④事業承継対策

先代オーナーが後継者への株式移転や、M%A、親族外承継の設例が出題されています。

  • 株価が高いことに悩んでいる。
  • 事業承継で悩んでいる
  • 株式移転で悩んでいる。

⑤その他

他に、取引先から話を聞いてきたことがよくわからないや、セミナーに参加したことが気になっているなどの設例があります。

  • ○○についてよくわからない。
  • ○○について詳しく知りたいと思っている。

以上の5項目をマーカーやメモしておけば大丈夫ですが、質問者から

他にありませんか?

と聞かれることもあります。

なるべく多くの問題点を把握しておくと安心です。

おそらく、他にありませんかと質問されるのは、この設例で重要な問題点をあげていない可能性があります。

次の質問、「Aさんの問題点等を解決するために、どのような提案・方策がありますか?」に繋がる問題点や、この設例のテーマ的な問題点をあげると、質問者も予想した展開になり質問がしやすくなります。

配点にも影響するのではないでしょうか?

B. 問題解決策の検討分析 問題解決策の検討・分析

顧客の問題点、ニーズの説明が終わると、質問者から次の質問が投げかけられます。

それでは、今あげた相談内容および問題点を解決するためには、どのような提案・方策が考えられますか?

先ほど説明した問題点を解決するための方策を提示します。

①円滑な遺産分割

  • 遺言書の作成
  • 遺留分の民法特例(経営承継円滑化法)
  • 代償分割(生命保険の活用、所得分散)
  • 所得分散による、固有資産の増加(生前贈与、資産管理会社の活用、賃貸不動産の贈与)

②納税資金の確保

  • 生命保険の活用
  • 死亡退職金の支給
  • 金庫株の活用
  • 非上場株式等についての納税猶予
  • 役員報酬の支給
  • 個人所有の土地に会社の施設を建設

③相続税の軽減対策

  • 役員退職金支給による株価引き下げ
  • 小規模宅地等の評価減の活用
  • 生前贈与
  • 養子縁組
  • 非上場株式等についての納税猶予

④事業承継対策

  • 名義株の整理
  • 親族外承継
  • M&A(株式譲渡)
  • 清算(廃業)

さまざまな解決策や方策を考えつくと思いますが、ここで注意する点は、偏った提案やアドバイスをせず、いくつかの選択肢を示すということです。

解決策にはメリットやデメリットがあります。Aさんの状況にあった実行可能な対応策を提示しましょう。

C. 顧客の側に立った対応

問題点を解決するための方策の説明が終わると、質問者から次の質問が投げかけられます。

それでは、今あげた問題点を解決するための方策のメリット、デメリット、リスク、留意点はどんなことがありますか?

いよいよFP1級技能士としての知識を、存分に発揮できる質問です。

学科試験や実務経験から得た知識を、顧客の側に立って説明しましょう。

この質問に答えた後に、答えた内容を深掘りした質問が追加で聞かれる場合があるので、説明した内容の深堀や関連した制度も答えられるように、まとめて覚えておくと効率的です。

いくつか例をあげてみます。

①円滑な遺産分割

  • 遺言書の作成
    • 留意点:全財産の相続人を指定すること。遺留分を考慮した内容にすること。曖昧な表現は避けること。
    • 追加質問:法務局での自筆証書遺言保管制度 遺言書の種類(公正証書・自筆・秘密) 家族信託
  • 遺留分の民法特例
    • 流れ:合意→経済産業大臣の確認→家庭裁判所の許可→合意の効力発生
    • 除外合意:後継者が現経営者から贈与等によって取得した自社株式について、他の相続人は遺留分の主張ができなくなる。
    • 固定合意:自社株式の価額が上昇しても遺留分の額に影響しないことから、後継者は想定外の遺留分の主張を受けることがなくなる。

②納税資金の確保

  • 金庫株の活用
    • 自己株式の取得。目的・期間・数量に関係なく保有し続けることができる。
    • 通常、個人所有の自社株を金庫株で売却した場合、「みなし配当」となり総合課税される。
    • 相続により取得した自社株に限り、「譲渡所得課税」となり20.315%の税率で課税され、「譲渡所得の取得費加算」の特例が適用できる。

③相続税の軽減対策

  • 役員退職金支給による株価引き下げ
    • 退職した社員は退職所得控除が受けられ、支払った会社は損金算入できる。
    • 類似業種比準価額への影響。役員退職金を支給すると、1株あたりの年利益金額、簿価純資産価額が減少し、類似業種比準価額を下げることができる。
    • 大会社の場合、効果が出るのは翌期以降(死亡退職金は効果なし)
    • 純資産価額方式の場合、損金算入直後に効果が出る(死亡退職金も効果あり)

④事業承継対策

  • 名義株の整理
    • 株主名簿を実質株主へ変更。贈与税回避のため確認書を作成すること。
    • 訴訟により株主名簿を書き換える。
    • 株式併合により、名簿株主を1株未満の株主にして会社が買い取る。
    • 特別支配株主の株式等売渡請求制度により買い取る。
    • 所在不明株主の株式売却制度を活用する
  • 事業承継のフロー
    1. 株価・相続税額の資産、および問題点の把握(株価が高額、相続税が高額、名義株の存在)
    2. 株式が高額の場合、効果的な対策を検討する(自社株評価の引き下げ)
    3. 後継者に会社の経営権を確保させるため、後継者への株式移転方法を検討する。
    4. 納税資金を確保する(金庫株・持株会社・保険金活用)

他にもさまざまな問題解決策が思いつくと思いますが、重要なことはFPとして、Aさんの立場に立った対応、質問者が求める回答ができているかどうかです。

例えば、退職金の支給による株価引き下げについては、実務経験が豊富な方などは、退職金を限度額まで支払うと債務超過や流動性が低下するので、融資が受けにくくなり事業継続に影響が出るかもしれない、などと実践的な回答を考えられるかもしれません。

しかし、実技試験の面接ではFP1級技能士としての回答が求められます。実務経験で得たベストな答えよりも、FPとしての回答を優先することも重要です。

D. FP理論と法令遵守 関連業法との関係および職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング

問題解決策を提案し、面接時間も終盤に差し掛かると、お決まりの質問でPart1の面接は終了です。

最後に、FPが守るべき職業倫理を6つあげてください。

FP1級実技試験の面接では、Part1、Part2それぞれに必ず質問される項目があります。

Part1では、FPが守るべき職業倫理が必ず質問されます。

  • FPが守るべき職業倫理
    1. 顧客利益の優先
    2. 守秘義務の遵守
    3. 顧客への説明義務
    4. コンプライアンスの遵守
    5. インフォームドコンセント
    6. FP自身の自己研鑽

FPが守るべき職業倫理の6項目は丸暗記する項目ですが、質問にここまで順調に答えられていれば問題ないのでしょうが、回答に対する後悔や緊張から頭の中が真っ白になってしまいます。

暗記していても、設例を読む時間になったら設例を読む前に、うっかりミスを防ぐためにも設例用紙にメモを書いておくことをお勧めします。

どれもFPにとっては大事なことだと思いますが、今回のケースでは特にどれを重視しますか?

FPが守るべき職業倫理の6項目を答えただけでは質問は終わりません、今回の設例で最も重視する項目を答えて面接は終了です。

この質問に対しては、どんな設例であってもあらかじめ6項目のどれを答えるか決めておく人と、設例を読んでみて内容に合わせて回答する方が合っている人がいると思います。

本番では、最後の質問になるので、悔いのないように確実に自信を持って答えるといいでしょう。

まとめ

FP1級実技試験は、とにかく緊張します。

私は、お客様対応やセミナー講師、社員研修など人前で話すことを仕事にしていますが、それでも実技試験当日は緊張しました。

合格率80%以上だから受かって当然、万が一落ちたらどうしよう。
このうちの1人か2人は落ちるのか。(試験グループを見渡して)
さっきの回答間違っていたんじゃないか。(1回目の面接を終えて)
などなど。

必要以上に余計なことを考えてしまい、準備していた直前まとめノートを見ても、あまり頭に入ってきませんでした。

かなり緊張するので、試験当日の行動が合否に直結することはほとんどないと思います。

今までの努力の積み重ねが結果に反映すると思いますので、これから受験する方は、自信を持って試験に臨んでください。

私が合格したからきっと大丈夫です。

参考になるかわかりませんが、私が実技試験の学習でメモを取っていたノートです。

たぶん、なんのことかよくわからないと思いますが、本人がわかるようにメモを取ることが重要だと思います(笑)

FP1級実技試験は、面接試験なのでインプットも大事ですがアウトプットが重要です。

アウトプットなんて学習方法や手応えがわかりにくいと思いますが、SNSで模擬面接を受験者同士で行っている方もいらっしゃいますので、話す練習をする機会が少ない方は、参加してみるのもいいかもしれませんね。

ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Twitterにてお知らせください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんのFP1級技能士試験合格を願っています。

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    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、証券外務員、日商簿記2級。
高校卒業後セガに就職し上京。地元に戻りDTPオペレーターとして印刷会社に就職。
金融機関へ転職しお客様相談やセミナー講師、社員研修を担当。