公開日 2021年9月20日 最終更新日 2024年7月23日
勉強を始めても学科試験と違い、どのように勉強を進めていけばいいのか、わからない方も多いのではないでしょうか?
私も学科試験の後、自己採点で学科試験合格の手応えはありましたが、実技試験の勉強を始めたのは合格発表で確実に合格したことを確認してからでした。
しかし、実技対策問題集を開いてみたものの、何をどう勉強していいのかわからず、合格率80%以上の実技試験とはいえ自分が不合格の20%になってしまうのではないかと不安になってしまいました。
FP1級実技試験の採点基準については公表されていませんが、実施要項によると「顧客のニーズおよび問題点の把握」「問題解決策の検討・分析」「顧客の立場に立った対応」「関連業法との関係および職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング」といった観点から採点が行われるとあります。
合否通知書を見てみると、分野別得点として「A.顧客の問題点の把握」「B.問題解決策の検討分析」「C.顧客の側に立った対応」「D.FP倫理と法令遵守」の4分野に分けて採点されていることがわかります。
実技試験では設例を読む時間がとても重要です。
どんな内容なのか、どんな悩み、相談なのかを理解すること。次に、どのような質問が投げかけられるかを考えながら設例用紙にメモやマーカーを引きます。
何をメモしてマーカーするのかを理解していなければ、設例が頭に入らず設例を読む貴重な15分間がテンパってしまい、わかっているのに答えられないということになりかねません。
私が実技試験学習の際に作成した設例のポイントをまとめましたので紹介します。
今回は、Part1編です
設例を読む15分間が過ぎると、試験官から面接室へ案内されます。
挨拶が終わると、質問者から最初の質問が投げかけられます。
設例をじっくり読んだと思いますが、Aさんの相談内容と問題点について項目だけで構いませんので全てあげてください。
最初に質問されるのは、A.顧客の問題点の把握 顧客のニーズおよび問題点の把握です。
この質問はFP試験というよりも、文章力・読解力の問題です。設例をじっくり読みAさんの問題点、ニーズは何かを把握します。
いろいろなAさんが登場するので全て該当するわけではありませんが、設例を読む際にマーカーやメモを取るポイントは5つあります。
相続人が複数人いる場合は、今は良好な関係でも必ず問題になります。Aさん自身は気づいていないことが多いので問題点として教えてあげます。
Aさん自身は納税資金不足は悩んでいないが、Aさんの所有財産に占める現預金の割合が少なく、結果的に納税資金不足になる場合がほとんどです。(現預金が相続税の見積額よりも多い場合もあります)
Aさん自身が気づいている場合は、所得税が高額で法人化を検討する設例や、以前、相続税の負担が大変だったなどの設例が出題されています。
先代オーナーが後継者への株式移転や、M&A、親族外承継の設例が出題されています。
他に、取引先から話を聞いてきたことがよくわからないや、セミナーに参加したことが気になっているなどの設例があります。
以上の5項目をマーカーやメモしておけば大丈夫ですが、質問者から
他にありませんか?
と聞かれることもあります。
なるべく多くの問題点を把握しておくと安心です。
おそらく、他にありませんかと質問されるのは、この設例で重要な問題点をあげていない可能性があります。
次の質問、「今あげたAさんの問題点等を解決するために、どのような提案・方策がありますか?」に繋がる問題点や、この設例のテーマ的な問題点をあげていないと、シナリオ通りに面接試験がすすみません。
面接試験は学科試験とは異なり、質問者と受験生との共同作業です。
質問する側は、あなた1人だけを面接しているわけではありません。時間内に採点できるような質問をしなければ、実技試験全体に影響します。
配点に影響するかどうか分かりませんが、面接官の立場で考えると、想定通りに面接試験が進むとストレスなく実技試験が終わりますよね。
顧客の問題点、ニーズの説明が終わると、質問者から次の質問が投げかけられます。
それでは、今あげた相談内容および問題点を解決するためには、どのような提案・方策が考えられますか?
先ほど説明した問題点を解決するための方策を提示します。
さまざまな解決策や方策を考えつくと思いますが、ここで注意する点は、偏った提案やアドバイスをせず、いくつかの選択肢を示すということです。
解決策にはメリットやデメリットがあります。
次の質問、「顧客の側に立った対応」になっているかを意識して、Aさんの状況にあった実行可能な解決策を提示しましょう。
問題点を解決するための方策の説明が終わると、質問者から次の質問が投げかけられます。
それでは、今あげた問題点を解決するための方策のメリット、デメリット、リスク、留意点はどんなことがありますか?
いよいよFP1級技能士としての知識を、存分に発揮できる質問です。
学科試験や実務経験から得た知識を、顧客の側に立って説明しましょう。
この質問に答えた後に、答えた内容を深掘りした質問が追加で聞かれる場合があるので、説明した内容の深堀や関連した制度も答えられるように、まとめて覚えておくと効率的です。
いくつか例をあげてみます。
他にもさまざまな問題解決策が思いつくと思いますが、重要なことはFPとして、Aさんの立場に立った対応、質問者が求める回答ができているかどうかです。
例えば、退職金の支給による株価引き下げについては、実務経験が豊富な方などは、退職金を限度額まで支払うと債務超過や流動性が低下するので、融資が受けにくくなり事業継続に影響が出るかもしれない、などと実践的な回答を考えられるかもしれません。
しかし、実技試験の面接ではFP1級技能士としての回答が求められます。実務経験で得たベストな答えよりも、FPとしての回答を優先することも重要です。
問題解決策を提案し、面接時間も終盤に差し掛かると、お決まりの質問でPart1の面接は終了です。
最後に、FPが守るべき職業倫理を6つあげてください。
FP1級実技試験の面接では、Part1、Part2それぞれに必ず質問される項目があります。
Part1では、FPが守るべき職業倫理が必ず質問されます。
FPが守るべき職業倫理の6項目は丸暗記する項目です。
質問にここまで順調に答えられていれば問題ないのでしょうが、回答に対する後悔や緊張から、頭の中が真っ白になってしまうことがあります。
試験本番は想像以上に緊張します。確実に暗記していても、設例を読む時間になったら設例を読み始める前に、設例用紙に職業倫理の6項目を書いておくことをお勧めします。
どれもFPにとっては大事なことだと思いますが、今回のケースでは特にどれを重視しますか?
FPが守るべき職業倫理の6項目を答えただけでは質問は終わりません、今回の設例で最も重視する項目を答えて面接は終了です。
この質問に対しては、どんな設例であってもあらかじめ6項目のどれを答えるか決めておく人と、設例を読んでみて内容に合わせて回答する方が合っている人がいると思います。
採点にどのような影響があるか、わかりませんが、本番では、最後の質問になるので、悔いのないように自信を持って答えましょう。
FP1級実技試験は、とにかく緊張します。
私は、お客様対応やセミナー講師、社員研修など人前で話すことを仕事にしていますが、それでも実技試験当日は緊張しました。
合格率80%以上だから受かって当然、万が一落ちたらどうしよう。
このうちの1人か2人は落ちるのか。(試験グループを見渡して)
さっきの回答間違っていたんじゃないか。(1回目の面接を終えて)
などなど。
必要以上に余計なことを考えてしまい、準備していた直前まとめノートを見ても、あまり頭に入ってきませんでした。
かなり緊張するので、試験当日の行動が合否に直結することはほとんどないと思います。
今までの努力の積み重ねが結果に反映すると思いますので、これから受験する方は、自信を持って試験に臨んでください。
私が合格したからきっと大丈夫です。
参考になるかわかりませんが、私が実技試験の学習でメモを取っていたノートです。
たぶん、なんのことかよくわからないと思いますが、本人がわかるようにメモを取ることが重要だと思います(笑)
FP1級実技試験は、面接試験なのでインプットも大事ですがアウトプットが重要です。
アウトプットなんて学習方法や手応えがわかりにくいと思いますが、模擬面接を実施していますので、話す練習をする機会が少ない方は、ぜひ参加してみてください。
模擬面接の詳細はこちらをご覧ください。
ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Xにてお知らせください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんのFP1級技能士試験合格を願っています。