FP試験問題 類似業種比準価額、純資産価額、併用方式を解説します

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公開日 2021年4月3日 最終更新日 2021年7月18日

FP1級試験の勉強を始めても、出題範囲が広すぎて何から手をつけていいのかわからなかったり、せっかく覚えても忘れてしまい心が折れることってありませんか?

このサイトでは、私が実践し得点が倍増した勉強方法についてご紹介します。

今回はF.分野 相続・事業承継から取引相場のない株式の評価上の区分と評価方式の判定(類似業種比準価額、純資産価額、併用方式)の計算問題です。

  《問63》 《問64》 《問65》
2021年5月
  1. 小規模宅地の特例適用後の土地の価額の計算
6点
  1. 相続税の総額の計算
  2. 孫が納付すべき相続税額の計算
6点
  1. 配偶者居住権、配偶者短期居住権の説明
  2. 自筆証書遺言保管制度の説明
8点
2021年1月
  1. 類似業種比準価額の計算
7点
  1. 純資産価額の計算
  2. 類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用方式による価額の計算
7点

間違っている選択肢を選び適切な内容に訂正する

  1. 直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の説明
  2. 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の説明
6点
2020年9月
  1. 類似業種比準価額の計算
6点
  1. 純資産価額の計算
  2. 類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用方式による価額の計算
6点
  1. 非上場株式等についての贈与税の納税猶予・免除の特例の説明
  2. 遺留分に関する民法の特例の説明
8点
2020年1月
  1. 類似業種比準価額の計算
7点
  1. 純資産価額の計算
  2. 類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用方式による価額の計算
7点

間違っている選択肢を選び適切な内容に訂正する

  1. 非上場株式の評価を引き下げる方策の説明
  2. 事業用建物の敷地の評価の説明
6点
2019年9月
  1. 相続に関する土地の評価の説明
7点
  1. 相続税の総額の計算
  2. 長男が納付すべき相続税額の計算
5点
  1. 遺留分の説明
  2. 遺言書の説明
8点
2019年5月
  1. 類似業種比準価額の計算
6点
  1. 小規模宅地の特例適用後の相続税の総額の計算
6点
  1. 非上場株式についての相続税の納税猶予・免除の特例の説明
8点

取引相場のない株式評価の計算問題は、FP1級試験の応用編で過去5回のうち4回出題されています。類似業種比準価額方式の計算を間違えると併用方式の計算も間違えてしまうので慎重に計算しましょう。

FP試験の勉強を進めていく中で、相続・事業承継の分野は苦手な方も多いのではないでしょうか? 私も相続関連は実際に貯金や保険で相続手続きを行ったことがあるのでなんとなくわかっていましたが、事業承継は全くやったことがなかったのでテキストを読んだだけでは全く頭に入ってきませんでした。

特に、取引相場のない株式評価の計算式はテキストを見るととても難しそうで最初っから不安になります。

とんでもなくおぼえにくい取引相場のない株式評価の計算式ですが、二つのポイントがあります。一つはステップ式で解くこと、もう一つは項目を記号に置き換えることです。

それでは、過去問を解きながら解説していきます。

問題を見る必要がない方は問題を飛ばして解説からお読みください。

取引相場のない株式評価の問題 2021年1月24日試験 応用編 《問63》《問64》

《問63》《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金 額は10銭未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除し た年利益金額は円未満を切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。

なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。

 

《問64》《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの1純資産価額および 2類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額を、それぞれ求めなさい

(計算過程の記載は不要)。〈答〉は円未満を切り捨てて円単位とすること。 なお、X社株式の相続税評価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。

 

《設例》

非上場会社のX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん (70歳)には、妻Bさん(70歳)、長男Cさん(44歳)、二男Dさん(38歳)および長女Eさん(35歳)の4人の推定相続人がいる。 Aさんは、所有するX社株式をX社の専務取締役である長男Cさんに贈与して第一線を退く決意を固めた。また、住宅の取得を予定している二男Dさんと、昨年結婚して第一子を出産予定の長女Eさんに、それぞれ資金援助をしたいと考えている。

X社に関する資料は、以下のとおりである。なお、〈X社の概要〉の「□□□」は、 問題の性質上、伏せてある。

 

〈X社の概要〉

(1) 業種 金属製品製造業

(2) 資本金等の額 2,000万円(発行済株式総数40,000株、すべて普通株式で1株につき1個の議決権を有している)

(3) 株主構成

株主 Aさんとの関係 所有株式数
Aさん 本人 38,000株
Bさん    1,000株
Cさん 長男    1,000株

(4) 株式の譲渡制限 あり

(5) X社株式の評価(相続税評価額)に関する資料

・X社の財産評価基本通達上の規模区分は「中会社の小」である。

・X社は、特定の評価会社には該当しない

・比準要素の状況

比準要素 X社 類似業種
 1株(50円)当たりの年配当金額 □□□円 4.5円
 1株(50円)当たりの年利益金額 □□□円 28円
 1株(50円)当たりの簿価純資産価額 155円 282円

※すべて1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額である。

・類似業種の1株(50円)当たりの株価の状況

 課税時期の属する月の平均株価 250円

 課税時期の属する月の前月の平均株価 252円

 課税時期の属する月の前々月の平均株価 250円

 課税時期の前年の平均株価 260円

 課税時期の前々年の平均株価 242円

 課税時期の属する月以前2年間の平均株価 248円

(6) X社の過去3年間の決算(売上高・所得金額・配当金額)の状況

事業年度 売上高 所得金額(注1) 配当金額
直  前  期 14,000万円 1,200万円    220万円(注2)
直 前 々 期 12,000万円 1,120万円 160万円
直前々期の前期 13,000万円 1,150万円 180万円

(注1)所得金額は、非経常的な利益金額等の調整後の金額である。

(注2)直前期の配当金額(220万円)には記念配当40万円が含まれている。

(7) X社の資産・負債の状況

直前期のX社の資産・負債の相続税評価額と帳簿価額は、次のとおりである。

科  目 相続税評価額 帳簿価額 科  目 相続税評価額 帳簿価額
流動資産  7,770万円 7,770万円 流動負債 4,180万円  4,180万円 
固定資産  8,650万円 5,330万円 固定資産 2,720万円  2,720万円 
合   計 16,420万円 13,100万円 合  計 6,900万円 6,900万円

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

出典:一般社団法人金融財政事情研究会 1級学科試験、1級実技試験(個人資産相談業務) なお、当サイトの管理人は一般社団法人金融財政事情研究会のファイナンシャル・プランニング技能士センター会員のため許諾申請の必要なく試験問題を利用しています。参考:技能検定試験問題の使用について

不動産譲渡所得の問題 2021年1月24日試験 応用編 《問63解答と解説》

類似業種比準価額
  1. 1株あたり年配当金額の計算

(2,200,000円−400,000円+1,600,000円)÷2 20,000,000円円÷50円 =4.2円(10銭未満切捨て)

12,000,000円>(12,000,000円+11,200,000円)÷2=11,600,000円

  1. 1株あたり年利益金額の計算

11,600,000円 20,000,000円円÷50円 =29円

  1. 1株あたりの資本金等の額の計算

 20,000,000円÷40,000株=500円

  1. 類似業種比準価額の計算

248円× 4.2円 4.5円 29円 28円 155円 282円 3 ×0.6× 500円 50円

248円× 0.93+1.03+0.54円 3 ×0.6× 500円 50円

=248×0.83×0.6×10

=123.5×10

=1,235円 〈答〉1,235(円)

純資産価額方式

16,420万円−6,900万円=9,520万円

13,100万円−6,900万円=6,200万円

9,520万円−6,200万円=3,320万円

3,320万円×37%=1,228.4万円

9,520万円−1,228.4万円=8,291.6万円

8,291.6万円÷40,000株=2,072.9円 純資産価額方式の株価 〈答〉①2,072(円)

併用方式

1,235円×0.6−(1−0.6)×2,072円=1,569円 〈答〉②1,569(円)

《解説》

類似業種比準価額方式の計算

問題文に比準要素の記載がない場合は比準要素の計算から始めます

1株(50円)当たりの年配当金額(b)

 直近2年間の配当金の年平均の値を株式数で割って求めます。この時、特別配当や記念配当などは除きます。

(2,200,000円−400,000円+1,600,000円)÷2 20,000,000円円÷50円 =4.2円(10銭未満切捨て)

1株(50円)当たりの年利益金額(c)

直前期の値または直近2年間の平均値のいずれか低い方を使用します。

11,600,000円 20,000,000円円÷50円 =29円

1株あたりの資本金等の額を求めます

 資本金等の額÷発行済株式総数

 20,000,000円÷40,000株=500円 (FP試験では、ほとんど500円になります)

類似業種の1株(50円)当たりの株価(A)

 類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものか、前年平均株価又は課税時期の属する月以前2年間の平均株価の最も低いものになります。

注)以前は、上記5種類の株価しか記載していなかったので単純に一番低い株価を選べばよかったんですが、最近は6種類(前々年の平均株価が一番低い)記載があり引っ掛かる人が多発しています。

類似業種比準価額の式に当てはめる

b B c C d D 3 ×斟酌率× 1株あたりの資本金等の額(500円) 50円

248円× 4.2円 4.5円 29円 28円 155円 282円 3 ×0.6× 500円 50円

取引相場のない株式の計算をするときは端数を切り捨てることに気をつけましょう。

純資産価額方式の計算

6ステップで計算します。

それぞれの文言に記号を振ると計算しやすくなります。

科  目 相続税評価額 帳簿価額 科  目 相続税評価額 帳簿価額
流動資産 7,770万円 7,770万円 流動負債 4,180万円  4,180万円 
固定資産 8,650万円 5,330万円 固定資産 2,720万円  2,720万円 
合  計 16,420万円❶ 13,100万円❷ 合  計 6,900万円❸ 6,900万円❸
  1. 相続税評価額による資産の合計額❶−負債の合計額❸=相続税評価額による純資産価額🅰
  1. 帳簿価額による資産の合計額❷−負債の合計額❸=帳簿価額による純資産価額🅱️
  1. 相続税評価価額による純資産価額🅰️−帳簿価額による純資産価額🅱️=🅲
  1. 🅲×37%=🅳
  1. 相続税評価価額による純資産価額🅰️−🅳=🅴
  1. 🅴÷課税時期の発行済み株式数

もっと簡略化するとこうなります。

  1. −❸=🅰️
  1. ❷−❸=🅱️
  1. 🅰️−🅱️=🅲
  1. 🅲×37%=🅳
  1. 🅰️−🅳=🅴
  1. 🅴÷課税時期の発行済み株式数
併用方式の計算

類似業種比準価額×L+純資産価額×(1−L)

Lの割合:中会社の大(0.90) 中会社の中(0.75) 中会社の小(0.60) 小会社(0.50)

Lの割合を間違わないように気をつけましょう。

〈学習のポイント〉

取引相場のない株式評価の計算問題は、何度も問題をノートに書きながら解き、考えるというよりも作業という感覚になるまでひたすら解くことです。

正直、私もFP6分野全ての項目の意味を答えなさいと言われれると自信がない項目もあります。しかし、試験問題を解くことはできます。いまこのサイトを見てくださっているほとんどの方が目標としているのはFP1級学科試験に合格することで、わからない項目や自信がない項目は合格後も勉強し続けることや実務経験を積むことで身につけることができます。(実技試験の勉強で不動産と相続・事業承継分野の理解は深まります)まずは合格を勝ち取るため意味はわからなくても問題を解きましょう。

応用編の問題を解く場合は計算過程の記載が不要な問題でも必ずノートに体裁を揃えて書くようにしています。

何回も同じような問題を同じような体裁に揃えて記載することで視覚や体で覚えることもでき、計算ミスを防ぐこともできます。それに丁寧に計算過程を書くことで少しでも部分点のアピールになればとも思います。

私が実際に使っていた用紙です。

画像をクリックすると拡大します。 注)間違っている箇所もあります(赤字)

まとめ

不動産の問題や事業承継の計算問題はテキストを読んだだけではわかりにくい点がありますが、正直、完璧に理解できなくても試験問題を解くことはできます。

いつまでも解らないままでは困りますが、FP業務は日々勉強し続けなければなりません。合格した後も勉強は続きます。

試験問題を完璧に理解して解くことができても勉強し続けないと情報が古くなり、お客様対応時には使えない知識になっている可能性もあります。

ただ、試験に合格しないとFP1級技能士の称号はもらえません。試験は試験と割り切って、理解できてないところは合格後に理解できるように継続的な勉強をしたほうがいいと思います。

最後まで諦めずに実力を発揮できるように頑張りましょう!

ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Twitterにてお知らせください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんのFP1級技能士試験合格を願っています。

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    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、証券外務員、日商簿記2級。
高校卒業後セガに就職し上京。地元に戻りDTPオペレーターとして印刷会社に就職。
金融機関へ転職しお客様相談やセミナー講師、社員研修を担当。

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