健一さんの叔父(以下「被相続人」という)は、2024年6月11日に死亡した。下記<資料>は、 被相続人の相続人等関係図、債務および葬式等に要した費用等である。<資料>に基づく被相続人の相 続に係る相続人等の相続税の課税価格の計算上、債務控除をすることができる金額の合計額を計算しな さい。なお、記載以外の債務控除の適用要件はすべて満たしているものとし、債務控除をすることがで きる金額は、相続税の課税価格が最も少なくなるように計算するものとする。また、解答に当たっては、 解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
FP技能検定の試験問題の利用について 出典:日本FP協会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級実技試験(資産設計提案業務)2024年9月8日
債務控除に関する問題です。
答え 360(万円)
債務控除の対象となる債務は、相続開始の際に現に存在するもので確実と認められるものに限られます。
・銀行借入金:60万円(配偶者)
銀行借入金は、相続開始時の確実な債務であるため、債務控除の対象となります。
・固定資産税:30万円(長男)10万円(長女)
被相続人の公租公課については、亡くなった時点で未納付となっている国税や地方税のほか、亡くなった時すでに納税義務が発生しているものも含まれます。
固定資産税は、1月1日現在の所有者に対して課税されます。賦課期日以後に固定資産の所有者が死亡した場合は、相続人が納税義務を引き継ぐことになります。
したがって、被相続人の死亡した年度の住民税及び固定資産税は、納期が到来する前でも全額債務控除の対象となります。
相続放棄をした人は、相続人ではないということになり財産を相続しないため、債務控除の適用はありません。
したがって、長女が負担した固定資産税の10万円は債務控除の対象にはなりません。
・遺言執行費用:20万円(長女)
遺言執行費用は債務控除の対象になりません。
遺言執行に係る費用は相続財産の管理に関する費用であり、相続開始の際に現に存在する債務ではないため、債務控除の対象になりません。
・通夜・葬式費用:90万円(配偶者)90万円(長男)90万円(長女)
葬儀費用は債務ではありませんが、相続税を計算する際に、相続財産の価額から差し引くことができます。
債務控除の対象となる葬式費用の範囲は、原則として亡くなってから葬儀、納骨までの費用です。香典返しや位牌、仏壇、墓石の購入費用、法事に関する費用は債務控除の対象となりません。
相続放棄をした人は、債務控除を利用することはできません。ただし、相続放棄した人が遺贈により財産を取得した場合で葬式費用を負担していた場合には差し引くことができます。
・債務控除をすることができる金額
答え 360(万円)