FP1級試験は学科試験に合格して終わりではありません。
最後の難関「実技試験」を合格しなければ、FP1級技能士にはなれません。
FP2級試験までは、午前に行われるマークシートの試験を「学科」午後からの文章問題を「実技」といっていましたが、FP1級試験では、午前の試験を「学科(基礎編)」午後の試験を「学科(応用編)」といいます。
FP1級試験の実技試験とは、学科試験の合格者たちが後日行う面接試験のことです。
FP1級学科試験に初挑戦で一発合格するのは至難の業ですが、実技試験は1回の受験で合格したいものです。
理由は「合格率が80%以上」であることと、「受験費用が高い」からです。
図1は、FP1級試験の学科試験と実技試験の試験結果です。
学科試験は毎回10%前後の合格率なので難関試験であることは理解できますが、実技試験の合格率は、80%前後なので一見すると簡単そうに見えます。
もちろん、FP1級試験はそんなに甘くはありません。
合格率10%前後の難関試験を突破した猛者たちでも、5人に1人は不合格になっていると考えたら、その難易度は想像がつくと思います。
学科試験を合格しても、しっかり試験対策をしないと5人に1人の不合格者になってしまいます。
レベルの高い人が受験するとはいっても、80%以上の人が合格する試験は、一発で合格したいですよね。
2022年度から実技試験の受験料が25,000円から28,000円に値上げされました。
図3は2024年6月期の受験地ですが、受験地がかなり西日本寄りに偏っています。
したがって、お住まいの地域によっては飛行機代や新幹線代などの交通費の他、宿泊するためのホテル代がかかってしまうので、受験するだけで10万円以上かかる場合があります。
図4は1級と2級の試験結果ですが、注目は受験者数の違いです。
2級の学科試験は約3万8千人も受験申請者数がいるのに対し、1級の学科試験では8,089人と1万人を割っています。
さらに、FP1級実技試験の場合だと732人と1,000人を割っている状況です。
2級みたいに4万人近い受験生がいれば、対策本やセミナー、スクール、YouTubeなども、利用者数が多いので採算が取れますが、1級の受験者数だと、購入者が限られるので対策本を作っても赤字確定です。
したがって、1級、特に実技試験に関しての情報は極端に少なく、2級みたいに「一緒に試験会場まで行こうね、帰りは反省会ね」なんてこともほぼありません。
FP1級試験は孤独な戦いなのです。
FP1級学科試験は、難易度が高く、とても挑戦しがいのある試験です。実技試験とは、頑張って学科試験で身につけた知識を、どのようにして活用するのかが学べます。
問題は解けるけど、使い方がわからない事業承継や不動産の知識も、実技試験の勉強をすることで理解が深まり腑に落ちます。
FP業務で大切なことは、難しいことを相談者にわかるように伝えることだと思います。
学科試験で身につけた知識をアウトプットせずに、自分だけがわかっているなんて、もったいないですよ。