2024年9月8日実施 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験(応用編)過去問解説《問62》

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公開日 2024年12月13日 最終更新日 2024年12月18日

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問( 《問60》~《問62》 )に答えなさい。

《設 例》

 社員のAさん(50歳)は、K市内にある自宅で妻と2人で暮らしている。自宅はAさんが5年前に父親の相続により取得したものであり、建築から40年が経過した建物は、所々に傷みが目立つようになってきた。自宅の建替えも検討したが、現在住んでいる場所よりも交通の便のよい地域に引っ越したいと考え、自宅を売却するつもりでいる。

 Aさんは、引っ越し先を探すなかで、売りに出されていた甲土地に興味を持ち、甲土地を購入して、その上に自宅として戸建て住宅を建築することを検討している。

甲土地の概要は、以下のとおりである。

 

(注)

  • 甲土地は320㎡の長方形の土地であり、近隣商業地域に属する部分は160㎡、第一種低層住居専用地域に属する部分は160㎡である。
  • 甲土地は建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地ではない。
  • 幅員3mの公道は、建築基準法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路である。3m公道の中心線は、当該道路の中心部にある。また、3m公道の甲土地の反対側は宅地であり、がけ地や川等ではない。
  • 指定建蔽率および指定容積率は、それぞれ都市計画において定められた数値である。
  • 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

技能検定試験問題の使用について 出典:一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1 級学科試験 2024年9月

《問62》
甲土地に耐火建築物を建築する場合、次の①および②に答えなさい(計算過程の記載は不要)
〈答〉は㎡表示とすること。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

① 建蔽率の上限となる建築面積はいくらか。

② 容積率の上限となる延べ面積はいくらか。

 

技能検定試験問題の使用について 出典:一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1 級学科試験 2024年9月

解答解説 問62

〈答〉 ①  248(㎡) ② 620(㎡)

①建蔽率の上限となる建築面積

指定建ぺい率が80%の用途地域で、かつ防火地域内にある耐火建築物の建ぺい率は、100%になります。

また、次の条件に1つでも該当すると10%緩和され、両方に該当していれば20%緩和されます。

  • 用途地域が建ぺい率80%以外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物、または、準防火地域内にある耐火建築物・準耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物
  • 特定行政庁が指定した角地にある建物

また、敷地が防火地域の内外にまたがる場合でも、建物が耐火建築物のときは敷地全部が防火地域内にあるものとみなされて緩和の特例を受けることができます。

異なる複数の用途地域にまたがっている場合

甲土地は、近隣商業地域と第一種低層住居専用地域の2つの用途地域にまたがっています。それぞれに適用される建蔽率は以下の通りです。

  • 近隣商業地域:指定建蔽率80% 防火地域内にある耐火建築物の建ぺい率は100%
  • 第一種低層住居専用地域:指定建蔽率50% 防火地域内にある耐火建築物の建ぺい率は10%緩和され60%

土地面積は以下のように分かれています:

  • 近隣商業地域部分:160㎡
  • 第一種低層住居専用地域部分:160㎡

甲土地の東側に接する幅員3mの公道は、建築基準法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路です。

建物は幅員4メートル以上の道路に間口2メートル以上接していなければ建てられないと建築基準法で定められており、幅員が4メートル未満の道路に接している場合は、セットバックが必要となります。

セットバック後の土地の面積

  • 近隣商業地域部分:155㎡
  • 第一種低層住居専用地域部分:155㎡

各部分の建蔽率上限

建蔽率の上限となる建築面積を計算します。

  1. 近隣商業地域部分の上限となる建築面積
    155 × 100% =155㎡
  2. 第一種低層住居専用地域部分の上限となる建築面積
    155 × 60% = 93㎡
  3. 建蔽率の上限となる建築面積
    155㎡ + 93㎡ = 248 m²  

〈答〉 ① 248(㎡)

② 容積率の上限となる延べ面積

容積率は、指定容積率と前面道路の幅員による制限容積率の、いずれか小さいほうが適用されます。

2つ以上の道路に接している場合には、最も広い道路幅員で計算します。また、セットバックが済んでいない2項道路は、前面道路の幅員が4mとして計算します。

  1. 近隣商業地域部分
    指定容積率:400%
    道路制限容積率:幅員5m × 6/10 = 300%

    ・適用される容積率:300%
  2. 第一種低層住居専用地域部分
    指定容積率:100%
    道路制限容積率:幅員4m × 4/10 = 160%

    ・適用される容積率:100%
  3. 全体の容積率の上限となる、延べ面積
    近隣商業地域部分:155㎡ × 300% = 465 m²  
    第一種低層住居専用地域部分:155㎡ × 100% = 155m² 
    全体の容積率上限:465㎡ + 155㎡ = 620 m² 

〈答〉 ② 620(㎡)

    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、J-FLEC認定アドバイザー。
日本FP協会 CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞
DTP・Webデザイナー・コンサルタントとして開業や副業のコンサルティング、FP試験のサポートを行っています。
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