設例を読む順番が回ってくると、試験管から設例を読む机に移動するように声をかけられます。
私が受験した時は受験者が待機している部屋の隅に机が2つあり、Part1の受験者とPart2の受験者が一人ずつ呼ばれ設例を読みました。
設例を読む時間がとても重要です。質問されることは設例に書かれていることがほとんどなので、設例をしっかり読むことで面接で質問される内容をある程度想定できます。
質問内容が想定できれば、回答も思いつきます。
ここで重要なことは思いついた回答を設例用紙にメモをすることです。
実技試験はとにかく緊張します。
頭ではわかっていても、面接室の空気に飲まれ頭の中が真っ白になり、わかっているのに答えられなかったり、うまく言葉にできない場合があります。
実際にやってみるとわかりますが、何も見ずに話すよりも、メモを見ながら話す方が断然楽に話せます。設例を読む時間には、思いつく限りの回答を設例用紙にメモをしましょう。
設例を読むトレーニングで気をつけることは、設例をよく読むことです。
設例をよく読むなんて当たり前だと思われるでしょうが、実技試験の設例は文章も長く緊張もしているので、見落としや勘違いをします。思い込みで設例を読まないように、普段からゆっくり丁寧に設例を読みましょう。
設例を読む時間は15分間です。
設例を読み、内容を理解するだけでなく、質問を想定し、その回答を考え、メモをすることが15分間でどれぐらいできるのかが本番では重要です。
15分間の感覚を身につけるためにも、設例を読む際にはタイマーで測り、一連の動作がどれくらいの時間でできるのかを把握しておくことも大切です。
回答のヒントは設例に書いてあります。重要な情報を見落とさないためにも、落ち着いて設例をよく読み、思いつく限りのメモを記入しましょう。
設例を読む15分間で、冷静に事例と問題点を把握し、出題意図を掴み、想定問答が固まったら、もう大丈夫です。自信を持って面接室の前で待機しましょう。
大きく深呼吸し、心の準備ができたらノックして入室します。
入室後、質問者と記録者の2人に自己紹介をして、最初の質問を受けます。
私が受験した時は、まだコロナ対策が必要な状態での受験だったので、マスクをつけ、パーテーション越しでの面接でした。
事前に説明があると思いますが、質問が聞き取りにくい場合は遠慮せず「聞き取れなかったので、もう一度質問をお願いします」と再度、質問をしてもらいましょう。間違っても、聞こえたふりをして曖昧な答えはしないように。
質問の内容は設例ごとに違うので、設例を読むまで、質問内容はわかりませんが、Part1とPart2で、必ず質問される項目があります。
Part1では、「FPが守るべき職業倫理を6つあげてください」Part2では、「今回のケースで関与すべき、専門職業家には、どのような方々がいますか?」です。
Part1の回答は、「顧客利益の優先、守秘義務の遵守、顧客に対する説明義務、インフォームドコンセント、コンプライアンスの徹底、FP自身の能力の啓発」
Part2は「税理士、宅地建物取引士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士」など今回の設例に関係する士業を回答します。
この質問は面接の終盤で必ず質問されるので、設例を読み始める前に用紙の余白に記入しておきましょう。
普段の会話でも「説明がうまくいかずに言いたいことが伝わらなかった」ことや「要領を得ない説明を受け、結局、何が言いたいのか、何度も聞き返した」という経験はありませんか?
これらは面接試験の大敵です。
これを防ぐためには、自分の言葉で説明するトレーニングはかかせません。本番では、おそらく想像以上に緊張すると思います。
いい大人になると、面接試験のような独特の緊張感を味わう機会は滅多にないので、久々の大舞台では舞い上がってしまいがちです。
実技試験の学習方法として、テキストを読み、頭の中で答えてみて、解説を読むというよりも、ノートに書いて学習することをお勧めします。回答を書いて、解説を読みつつ、その文章を添削することで、どの文言を答えていて、何が説明不足かを明確にします。
また、ノートに書くことで見直したときに自分が忘れがちなポイントが一目でわかるようになります。
書くときのポイントは、口語調で書くことです。頭ではわかっていても、相手に説明することは思いのほか難しく、わかっているのに、うまく伝わらないことがあります。
書いた後は誰かに話して説明してみたり、模擬面接をしたり、ボイスレコーダーで自分の回答を聞いてみるのも効果的です。
FP1級実技試験の最難関ポイントが「回答に対するツッコミ、追加質問」への対応です。
どういうことかというと、例えば、円滑な遺産分割を行うために、遺言書の作成を提案するとします。
面接者 「遺言書には、どのような種類の遺言書がありますか?」
受験生 「遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類があります」
面接者「自筆証書遺言保管制度について教えてもらえますか?」
受験生 「ん〜、たしか…法務局で保管することができる制度です」
面接者 「保管の申請ができる遺言保管所はどこの法務局で申請できますか?」
受験生 「ん〜。調べて回答します…(汗)」
せっかく回答できて、ほっとしたのも束の間。質問者が「その制度はどんな種類がありますか?」「どのような方に適用できますか?」と回答に対して追加で質問したり、ツッコんで深掘りしてくることがあります。
学科試験で出題される程度の説明は求められるつもりで、学科試験後も知識レベルを維持しましょう。