目次
FP2級試験を合格した方で、このサイトにたどり着いたということは、FP1級試験にチャレンジしてみようとお考えではないでしょうか?
FP2級試験を合格した後は、「どうせなら1級まで目指そうかなぁ」「1級受けるなら、せっかく覚えた知識を無駄にしないように、2級を合格直後の試験を受験した方がいいよ」などと、FP1級技能士合格にに手が届きそうな手応えを感じている方も多いでしょう。
一方で、「1級と2級とでは次元が違う」「あんなの合格できるわけがない」というような意見を耳にすることも多いのですが、果たしてどうでしょうか?
実際にFP1級試験と2級との違いはどれぐらいあるんでしょうか? 合格率や難易度を比較してみましたので、FP1級試験にチャレンジしてみようかなと考えている方は参考にしてください。
結論を先に言うと「FP2級に合格できればFP1級も合格できます。FP1級試験を受験するなら早いほうがいい」と言うことです。
1級の合格率と2級の合格率は以下の通りです。
この表を見ると、確かに1級学科の合格率は10%前後と非常に低い合格率ですが、2級の合格率も20%〜30%で決して簡単な試験ではありません。
そもそも1級を受験する人が少なく、2級合格者のうち1級にチャレンジしている人は1割程度なので合格率だけでは判断できません。
試験結果:2024年9月8日実施
等級 | 学科 実技 | 試験科目 | 受検申請者数 | 受検者数(A) | 合格者数(B) | 合格率(B/A) |
---|---|---|---|---|---|---|
1級 | 学科 | ‐ | 6,412 | 4,312 | 688 | 15.95% |
実技 | 資産相談業務 | – | – | – | – | |
2級 | 学科 | ‐ | 29,415 | 22,382 | 4,253 | 19.00% |
実技 | 個人資産 相談業務 | 10,144 | 7,503 | 3,335 | 44.44% | |
中小事業主 資産相談業務 | 1,047 | 772 | 188 | 24.35% | ||
生保顧客 資産相談業務 | 8,863 | 6,064 | 2,228 | 36.74% | ||
損保顧客 資産相談業務 | 291 | 237 | 146 | 61.60% | ||
計 | 20,345 | 14,576 | 5,897 | 40.45% |
FP1級学科試験は受験者数も年々増加傾向にあり、2018年度までは9月と1月の年2回開催でしたが、2019年度から5月にも実施されるよにになり、年3回受験できるようになりました。
これもFP1級技能士が世の中に認知されて、人気の資格になってきたからではないでしょうか?
1級受験経験者の誰もが口を揃える、FP1級試験合格までも最大の難関は「学科試験(基礎編)」です。
学科試験(基礎編)とは、午前中に行われる50問の四択問題ですが、基礎編で四択問題だから悪くても50%ぐらいは解けるかなぁと思いますが、初見で40%も解ければ上出来で、まったく聞いたこともなく、テキストにも載っていないような問題も出題されるので、その出題範囲の広さに衝撃を受けます。
ですが、基礎編の問題を見て解答できないからと諦めてはいけません。
2級と1級の試験分野は一緒なのです。
2級の試験範囲では出題対象にならなかった細かいところまで出題されているだけの話です。(本当に細かいところまで出題されます)
したがって、2級合格での喜びは通過点だと思いチャレンジャーの気持ちで取り組むことが大切です。
3級から受験してきた方は2級を受験する際に、3級受験の時に勉強した知識がそのまま通用するので、同じ感覚で2級から1級への受験を捉えてしまうかもしれませんが、まったく別物と捉えておいた方が賢明です。
では、実際の試験問題の難易度はどうでしょうか、同じ分野の試験内容を比較してみましょう。
2021年5月23日(日)実施 ファイナンシャルプランニング技能検定 2級 学科試験問題
問題 14
契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険契約の経理処理に関する次の記述 のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。また、いずれの保 険契約も2020年10月に締し、保険料は年払いであるものとする。
- 法人が受け取った医療保険の手術給付金は、その全額を雑収入として益金の額に算入する。
- 死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
- 死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間20年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
- 死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、その全額を雑収入として益金の額に算入する。
答え 4
出典:一般社団法人金融財政事情研究会
2021年5月23日(日)実施 ファイナンシャルプランニング技能検定 1級 学科試験問題
《問12》
X株式会社(以下、「X社」という)は、代表取締役社長であるAさんを被保険者 とする下記の定期保険に加入した。当該生命保険の第1回保険料払込時の経理処理と して、次のうち最も適切なものはどれか。答え 1
出典:一般社団法人金融財政事情研究会 1級学科試験、1級実技試験(個人資産相談業務) なお、当サイトの管理人は一般社団法人金融財政事情研究会のファイナンシャル・プランニング技能士センター会員のため許諾申請の必要なく試験問題を利用しています。参考:技能検定試験問題の使用について
ん〜。残念ながら2級とは明らかにレベルが異なります。
どちらも法人生保の経理処理の問題ですが、1級の問題は法人生保の経理処理の内容を仕分けまで深く理解していないと難しいのではないでしょうか。
他の問題も2級合格後に1度解いてみてください、おそらく愕然とする方も多いと思います。
FP1級試験は合格率10%程度の難関試験ですが、それでも「やっぱり1級がいいよね」というやる気のある方向けに
「1級はどのあたりが難しいのか」「どういうところに留意して勉強したらいいのか」といった特徴を、FP1級試験を1回では合格できなかった私が、不合格時の反省も踏まえてお伝えします。
合格への最短ルートは、きちんと1級に対応したテキストを習熟して、問題集でその精度を上げていくことが近道です。
2級を合格した方であれば、言葉の意味は理解できるのでFPの基礎学力は身についています。2級までの学習で身についた知識レベルを1級のレベルに引き上げるだけです。
2023年4月1日に、金融財政事情研究会がきんざいと経営統合したために、きんざいが制作していたFP受験対策本は、今後制作しないとのことです。
では、テキストは何を買ったらいいのか?
全国の金融機関でFP受検研修に使用されています。受検指導に精通した講師陣による、FP技能検定1級合格に必須の全6課目の項目を厳選したテキストです。
【梶谷美果監修、ほんださん特別協力の強力タッグ】
1級FP技能士(学科)合格テキスト、1,000ワード超の索引で学習効率アップ対策問題集の監修者で20年以上のFP講師歴を誇る梶谷美果の監修に加え、2024年度版から新たに、FP業界トップとなる18万人超のYouTubeチャンネル登録者数を有する「ほんださん」(本多遼太朗)が特別協力してお届けする、FP1級学科試験対策の決定版です!出典:Amazon商品ページより抜粋
- この1冊だけで、1級学科試験の合格レベルの知識をインプットすることができるよう、長年、FP1級学科試験受検対策の研修講師を経験している者たちが知恵を出し合って、工夫して執筆しました。
- この試験では、いわゆる超難問も出題されますが、そのような問題すべてに正解するための学習は必要なく、定番問題やその類題を確実に正解できるような学習をすることが合格の秘訣であり、その点を重視したのが本書です。
- 定番問題には、「応用編」だけでなく「基礎編」でも計算問題が多くみられます。本書では、インプット学習だけではなく、知識を学んだすぐ後にアウトプット学習ができるよう、計算例や「応用編」対策としての計算問題を数多く盛り込みました。
- 本書と合わせて、『受検対策講義映像』『対策問題集』『対策模擬試験(基礎編・応用編)』を活用されることをお薦めします。
問題集については「解説がしっかりしている」「ボリュームがある」問題集を周回して覚え込むことです。
残念ながら、1級に関しては「楽して〜」とか「効率的に〜」などとは考えず、正攻法で向かっていく姿勢が大切です。
FP1級技能士とは、過去に2万人弱程度しかいないFPの最高峰資格です。延べ2万人弱といっても初期の合格者は、もう現役かどうかもわかりませんし、実際に活躍しているFP1級技能士は思いのほか少ないのが現状です。
そんな希少な資格ですので、小手先の技術では通用しません。真正面から正々堂々とねじ伏せる姿勢で突破していきましょう。
2022年1月試験では、応用編の出題傾向が変わり、私の周りでも戸惑った受験生がたくさんいました。
今までは、応用編の過去に出題された計算問題を解ければ、応用編での高得点が期待できましたが、今後は過去問では出題されていないような問題の出し方が予想されます。
過去問を解くことはもちろん、テキストも隅々まで熟読することが合格への近道になりそうです。
FP試験では、時事的なものや金融業界での旬な話題、改正ものなどテキストや問題集に掲載されていない未知の問題が出題されます。2級や3級の試験でも、多少そういった問題の出題もありましたが、1級になるとその割合と難易度がぐんっと上がります。
この違いが過去問だけでも合格できた2級や3級との大きな違いです。
お勤め先の業界に関する旬な話題や改正などは、実務経験でカバーできると思いますが、畑違いの分野だと見たことも聞いたこともない未知の問題は、好きな番号を塗りつぶすことになるのかもしれません。
聞いたことも見たこともないような未知の問題に対する対策は、どうしたら良いのでしょうか?
一般的には、新聞やニュースをチェックしたり情報を多く収集するという方法が多いともいます。
しかし、個人的には出題されるかどうかもわからないものに時間をかけるなら、過去問や頻出問題を完璧にする方が効率的だと考えます。
そもそも、未知の問題なのでその範囲は無限大です。
どこまで対策(勉強)しても終わりがありません。(FP1級合格後も勉強に終わりはありません)
わざわざ未知の問題の対策をするよりも、FP1級の勉強をするなかで自然と異業種の情報も入ってくると思うので、「なんか聞いたことある」とか「FPとしてのセンス」で未知の問題には対応する方が良いと思います。
FP試験では計算問題が出題されます。
FP1級試験では学科試験の応用編での出題が多く、不動産では「建蔽率・容積率」「不動産の譲渡所得」相続・事業承継では「取引相場のない株式の評価額」に関して難易度の高い問題が出題されます。
少し前だと、応用編の計算問題は出題パターンがある程度決まっていたので、過去問を繰り返し解いていれば得点源となる問題でした。
しかし、ここ数年は出題傾向が変わってきたので、過去問だけでは歯が立たない問題が出題されています。
特に、不動産と相続・事業承継分野は、学科試験合格後の最終関門である実技試験(面接試験)でも出題されるので、計算式を覚えるだけでなく、学習の早い段階からしっかり勉強していた方が得策です。
などなど、FP1級に合格すると可能性が無限に広がります。
私が合格したので、誰にでも合格のチャンスはあります。2級合格も素晴らしいですが、もうひと頑張りしてみませんか?
ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Xにてお知らせください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんのFP1級技能士試験合格を願っています。