公開日 2025年2月17日 最終更新日 2025年2月19日
2024年4月1日付で、無戸籍者問題の解消と児童虐待防止のために民法の嫡出推定制度が改正されました。
これに付随して、女性の再婚禁止期間制度、嫡出否認の訴えの制度も改正されています。
嫡出推定とは、生まれた子の父が誰であるかを法律上早期に確定して子の利益を図ることを目的とする制度です。
改正前は、婚姻の成立した日から200日を経過した日より後に生まれた子又は婚姻を解消した日から300日以内に生まれた子は夫の子と推定されていました。
例えば、夫と離婚する前に他の男性と性交渉を持っている場合、夫と離婚して子どもの実の父親と再婚しても、法制度上は元夫との子どもと扱われることになります。
改正後は、婚姻解消の日から300日以内に生まれた子どもであっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた場合には、再婚後の夫を父とする出生の届出が可能となりました。
2024年4月1日の改正まで、女性の再婚禁止期間は100日とされていました。
嫡出推定制度が見直されたため、再婚禁止期間を据え置く必要がなくなり、女性の再婚禁止期間そのものが廃止されました。
嫡出否認制度とは、婚姻中や離婚後300日以内に生まれた子どもとの親子間を否定する制度です。
従来は、戸籍上の父親のみに家庭裁判所への申立をする権利が認められていました。
改正後は、父にしか認められていなかった提訴権が、子ども、母、母の前夫にも認められるようになりました。
改正前は、夫と離婚して子どもの実の父親と再婚しても、法制度上は元夫との子どもと扱われるため、子どもの母親が出生届を提出しないという事態が発生していました。
出生届が出されないと、その子供は無戸籍になってしまいます。
戸籍がないと、住民票やパスポートは、原則としてつくられません
また、資格を取得するために必要な戸籍の証明をすることができないことや、親の遺産を相続する場合に、親子の証明ができないことがあります。
嫡出推定制度に関する改正後の規定は、原則として、2024年4月1日以後に生まれる子に適用されますが、本法律の施行日前に生まれた方やその母も、本法律の施行の日から1年間に限り、嫡出否認の訴えを提起して、血縁上の父ではない者が子の父と推定されている状態を解消することが可能です。