2024年9月8日実施 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験(応用編)過去問解説《問63》

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公開日 2024年12月13日 最終更新日 2024年12月18日

【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問( 《問63》~《問65》 )に答えなさい。

《設 例》

 非上場会社のX株式会社(以下、 「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(75歳)の推定相続人は、妻Bさん(67歳)および長男Cさん(45歳)の2人である。

 5年前に製粉会社を退職し、X社に入社した後継者の長男Cさんは、専務取締役として販路拡大に手腕を発揮し、商品開発にも精力的に取り組んでいる。

 Aさんは、X社株式の大半を長男Cさんに早期に移転することを検討しており、X社株式の評価額を把握しておきたいと考えている。また、妻Bさんに対しては、Aさんが所有する店舗兼自宅の一部を贈与することで財産の移転を進めたいと考えている。

 X社の概要は、以下のとおりである。

 

〈X社の概要〉

  1. 業種 パン・菓子製造業(従業員数23名)

  2. 資本金等の額 1,000万円 (発行済株式総数20,000株、 すべて普通株式で1株につき1個の議決権を有している)

  3. 株主構成
    株主 Aさんとの関係 所有株式数
    Aさん 本人 14,000株
    Bさん 2,000株
    Cさん 長男 4,000株


  4. 株式の譲渡制限 あり

  5. X社株式の評価(相続税評価額)に関する資料
    ・X社の財産評価基本通達上の規模区分は「中会社の中」である。
    ・X社は、特定の評価会社には該当しない。
    ・X社の比準要素
    比準要素 X社
    1株(50円)当たりの年配当金額 8.2円
    1株(50円)当たりの年利益金額 55円
    1株(50円)当たりの簿価純資産価額 600円


    ・類似業種比準価額計算上の業種目/比準要素/業種目別株価
    業種目 年配当金額 年利益金額 簿価純資産価額 株価
    製造業(大分類) 6.8円 40円 358円 384円
    食料品製造業(中分類) 7.3円 42円 433円 578円
    パン・菓子製造業 (小分類) 8.9円 48円 728円 982円


  6. X社の資産・負債の状況
    直前期のX社の資産・負債の相続税評価額と帳簿価額は、次のとおりである。
    科 目 相続税評価額 帳簿価額 科 目 相続税評価額 帳簿価額
    流動資産 9,000万円 9,000万円 流動負債 3,000万円 3,000万円
    固定資産 18,000万円 14,000万円 固定負債 8,000万円 8,000万円
    合 計 27,000万円 23,000万円 合 計 11,000万円 11,000万円


※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

技能検定試験問題の使用について 出典:一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1 級学科試験 2024年9月

《問63》
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。 〔計算過程〕を示し、 〈答〉は円単位とすること。また、端数処理については、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。
なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。

X社株式の1株当たりの類似業種比準価額はいくらか。

 

技能検定試験問題の使用について 出典:一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1 級学科試験 2024年9月

解答解説 問63

〈答〉 4,369(円)

類似業種比準価額は以下の算式により計算します。

  • A ×{ ( b ÷ B + c ÷ C + d ÷ D ) ÷ 3 } × 斟酌率 × 1株あたりの資本金等の額( 500円 ) ÷ 50円

    A 類似業種の株価
    B 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額
    C 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額
    D 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの簿価純資産価額
    b 評価会社の1株当たりの配当金額
    c 評価会社の1株当たりの年利益金額
    d 評価会社の1株当たりの簿価純資産価額

  • 以下のステップで計算を進めます。

    ステップ 1:1株あたりの資本金等の額を求めます

    ・資本金等の額÷発行済株式総数
     1,000万円÷20,000株=500円


    ステップ 2:類似業種の株価、配当金額、利益金額、簿価純資産価額 ( A~d ) を確認します。

    評価会社の事業の該当する業種目が小分類に区分されているものは、小分類による業種目、中分類の業種目のものは中分類の業種目、大分類による業種目のものは大分類の業種目を使用します。
    ただし、納税義務者の選択により、類似業種が小分類による業種目の場合、その業種目の属する中分類の業種目とできます。同じように類似業種が中分類による業種目の場合、その業種目の属する大分類の業種目とでき、いずれか有利な方を選択することとなります。

    A = 578円
    B = 7.3円
    C = 42円
    D = 433円
    b = 8.2円
    c = 55円
    d = 600円

    斟酌率は、大会社の株価を評価する場合は「0.7」、中会社は「0.6」、小会社は「0.5」とします。
  • 計算式にあてはめます。

    578円 × { ( 8.2円 ÷ 7.3円 + 55円 ÷ 42円 + 600円 ÷ 433円 ) ÷ 3 } × 0.6 × 500円 ÷ 50円
    = 578円 × { ( 1.12 + 1.30 + 1.38 ) ÷ 3 } × 0.6 × 500円 ÷ 50円 
    = 578円 × 1.26 × 0.6 × 10
    = 436.9円 × 10
    = 4,369円


〈答〉 4,369(円)

    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、J-FLEC認定アドバイザー。
日本FP協会 CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞
DTP・Webデザイナー・コンサルタントとして開業や副業のコンサルティング、FP試験のサポートを行っています。
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