20 損益分岐点分析に関する問題
答え 4
変動費率が10ポイント上昇すると、損益分岐点売上高が2,000万円上昇する。 です。
各選択肢の解説
まず、〈X社の資料〉に基づき、損益分岐点分析のために必要な数値を計算します。
- 売上高:2億円
- 変動費:8,000万円 → 変動費率 = 8,000万円 ÷ 2億円 = 0.4
- 固定費:3,000万円
- 経常利益 = 売上高 - 変動費 - 固定費
= 2億円 - 8,000円 - 3,000万円 = 9,000万円
- 限界利益 = 売上高 - 変動費
= 2億円 - 8,000万円 = 1億2,000万円
- 限界利益率 = 1 - 変動費 ÷ 売上高
= 1 - 8,000万円 ÷ 2億円 = 0.6
- 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
= 3,000万円 ÷ 0.6 = 5,000万円
1. 経営安全率
経営安全率は次のように計算されます。
- 経営安全率(%) = 経常利益 ÷ 限界利益 × 100で計算できます
経常利益 = 2億円(売上高) - 8,000円(変動費) - 3,000万円(固定費) = 9,000万円
限界利益 = 2億円(売上高) - 8,000円(変動費) = 1億2,000万円
- 経営安全率(%) = 9,000万円(経常利益) ÷ 1億2,000万円(限界利益) × 100 =75(%)
したがって、1.の記述「経営安全率は75%である」は適切。
2. 固定費削減と損益分岐点売上高の変化
損益分岐点売上高は次の式で計算できます。
- 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
限界利益率は、1 - 変動費 ÷ 売上高で求めることができます。
限界利益率 = 1 - 8,000万円(変動費) ÷ 2億円(売上高) = 0.6
- 損益分岐点売上高 = 3,000万円(固定費) ÷ 0.6(限界利益率) = 5,000万円
固定費を1,200万円削減した場合の、新たな損益分岐点売上高は次の通りです。
- 損益分岐点売上高 = 1,800万円(固定費) ÷ 0.6(限界利益率) = 3,000万円
削減前の損益分岐点売上高は5,000万円だったため、2,000万円の低下が確認できます。
したがって、2.の記述「固定費を1,200万円削減すれば、損益分岐点売上高が2,000万円低下する」は適切。
3. 1億5,000万円の利益をあげるための売上高
利益を1億5,000万円上げるために必要な売上高を求めます。
- 目標利益に対する必要売上高の算式は、損益分岐点売上高の算式を活用し、以下のようになります。
必要売上高 = ( 固定費 + 目標利益 ) ÷ ( 1 - 変動費率 )
= ( 3,000万円 + 1億5,000万円 ) ÷ ( 1 - 0.4 ) = 3億円
したがって、3.の記述「1億5,000万円の利益をあげるために必要な売上高は、固定費および変動費率が変わらない場合、3億円である」は適切。
4. 変動費率の上昇と損益分岐点売上高の変化
変動費率が10ポイント(0.1)上昇すると、変動費率は0.5となり変動費は1億円です。
この場合の損益分岐点売上高は次の通りです。
- 限界利益率 = 1 - 1億円 ÷ 2億円 = 0.5
損益分岐点売上高 = 3,000万円 ÷ 0.5 = 6,000万円
元の損益分岐点売上高は5,000万円だったため、1,000万円の上昇が確認できます。
したがって、4.の記述「変動費率が10ポイント上昇すると、損益分岐点売上高が2,000万円上昇する」は不適切。
答え 4
|