公開日 2024年8月2日 最終更新日 2024年8月14日
和夫さんは、自身が死亡した場合の公的年金の遺族給付について、FPの安西さんに質問をした。和夫さんが2023年10月1日に死亡した場合の公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、和夫さんの公的年金加入歴等は下記<資料>のとおりであるものとし、記載のない遺族給付の支給要件はすべて満たしているものとする。また、各選択肢の記述はそれぞれ独立した内容であり、相互に影響を与えないものとする。
<資料>
[和夫さんの公的年金加入歴等] |
FP技能検定の試験問題の利用について 出典:日本FP協会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級実技試験(資産設計提案業務)2023年9月10日
公的年金の遺族給付の受給資格
1. 和夫さんは国民年金第1号被保険者としての保険料納付済期間が10年以上であるため、奈津子さんは寡婦年金の受給権を取得することができる。
1. 適切
寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、その夫と10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻に対して、その妻が60歳から65歳になるまでの間支給されます。
2. 和夫さんは国民年金第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上であるため、奈津子さんは死亡一時金の受給権を取得することができる。
2. 適切
死亡一時金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)が受けることができます。
3. 和夫さんは死亡日において厚生年金被保険者ではなく、国民年金第1号被保険者のため、遺族は遺族厚生年金を受給することはできない。
3. 不適切
遺族厚生年金の受給要件は死亡した人が、次の1~4のいずれかを満たしている場合です。
1. 2. 3.に該当する場合を「短期要件」4. に該当する場合を「長期要件」と呼び、年金額の計算に違いがあります。
「長期要件」は、厚生年金保険の被保険者期間が25年以上ではなく、「保険料納付済期間+保険料免除期間」が25年以上です。25年以上は、国民年金全体(第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者)で計算し、合算対象期間も算入するので、保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者となります。
また、和夫さんが大学生だった20歳から1991年4月までの期間は、1991年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間として合算対象期間になるので36月も長期要件の25年以上の計算に算入できます。
和夫さんの保険料納付済期間は、厚生年金被保険者期間が252月、国民年金第1号被保険者期間が138月、合算対象期間が36月の合計426月(35年6ヶ月)なので、長期要件を満たします。
したがって、遺族は遺族厚生年金を受給できるので、3.は不適切
4. 芽衣さんが仮に障害等級の2級に該当する障害の状態にあれば、奈津子さんは遺族基礎年金を受給することができる。
4. 適切
遺族基礎年金の受給対象者となる子とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。
芽衣さんは19歳なので、芽衣さんが障害等級の2級に該当する障害の状態にあれば、奈津子さんは遺族基礎年金を受給することができます。