公開日 2024年8月2日 最終更新日 2024年8月13日
陸さんは、贈与を検討しており、FPで税理士でもある永井さんに質問をした。贈与税の課税対象に関する次の(ア)~(エ)の記述のうち、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
(ア)夫と妻が、3,000万円の住宅を夫が2,000万円、妻が1,000万円を負担して購入し、所有権の登記はそれぞれの持分を2分の1とした場合、夫が多く負担した500万円分が贈与税の課税対象となる。
(イ)親子間の金銭貸借について、借入金の返済能力や返済状況からみて真に金銭の貸借であると認められる場合であっても、その借入金相当額が贈与税の課税対象となる。
(ウ)債務の弁済が可能である個人債務者が、対価を支払わないで個人債権者から債務の免除を受けた場合、その債務免除に係る債務の金額が贈与税の課税対象となる。
(エ)離婚による財産分与によって取得した財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合、その財産分与によって取得した財産の全額が贈与税の課税対象となる。
FP技能検定の試験問題の利用について 出典:日本FP協会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級実技試験(資産設計提案業務)2023年9月10日
贈与税の課税対象
(ア)夫と妻が、3,000万円の住宅を夫が2,000万円、妻が1,000万円を負担して購入し、所有権の登記はそれぞれの持分を2分の1とした場合、夫が多く負担した500万円分が贈与税の課税対象となる。
(ア) ○ 適切
資金を出していないにもかかわらず不動産の持分を取得すると、相手から「資金を出してもらった」ことになるので贈与税の課税対象になります。
(イ)親子間の金銭貸借について、借入金の返済能力や返済状況からみて真に金銭の貸借であると認められる場合であっても、その借入金相当額が贈与税の課税対象となる。
(イ) × 不適切
親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。
(ウ)債務の弁済が可能である個人債務者が、対価を支払わないで個人債権者から債務の免除を受けた場合、その債務免除に係る債務の金額が贈与税の課税対象となる。
(ウ) ○ 適切
ただし、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、債務の免除を受けたまたは債務者の扶養義務者に債務の引受けまたは弁済をしてもらったときは、その債務の弁済をすることが困難である部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされません。
(エ)離婚による財産分与によって取得した財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合、その財産分与によって取得した財産の全額が贈与税の課税対象となる。
(エ) × 不適切
離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。
ただし、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合や離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。