FP試験問題 不動産譲渡所得の特例の問題を解説します

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公開日 2021年4月2日 最終更新日 2021年11月7日

FP1級試験の勉強を始めても、出題範囲が広すぎて何から手をつけていいのかわからなかったり、せっかく覚えても忘れてしまい心が折れることってありませんか?

このサイトでは、私が実践し得点が倍増した勉強方法についてご紹介します。

今回はE.分野 不動産から不動産譲渡所得の特例の問題です。

不動産譲渡所得の計算問題は、FP1級試験の応用編で過去7回のうち7回出題されています。応用編の不動産の問題は建蔽率と容積率を求める問題と不動産譲渡所得と所得税・住民税を求める問題は必ず出題されます。不動産譲渡所得の問題はいくつかのパターンが決まっているので繰り返し問題を解くことでコツを掴むことができます。

不動産分野の問題はテキストを読んだだけで理解することが難しい場合は、不動産会社のサイトが参考になると思います。

私が参考にしたサイト:三井のリハウス

不動産譲渡所得のポイントは特例を整理して覚えることと取得費と譲渡費用の按分計算を忘れないことなどです。いずれも解き方のステップを作ればうっかりミスは防げるので面倒でも丁寧に計算式を書きましょう。

  《問60》 《問61》 《問62》
2021年9月

容積率の計算

建蔽率の計算

容積率の計算

6点

優良住宅地等のための長期譲渡所得の軽減税率の特例の説明

3,000万円の特別控除、長期譲渡所得の課税の特例適用後の譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税・住民税額の合計額の計算

特定の居住用財産の買換え特例の適用後の譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税・住民税額の合計額の計算説明(四択)

9点

路線価の説明

地積規模の大きな宅地の評価の説明

貸家建付地の評価の説明

5点
2021年5月

建築基準法の規定、固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例の説明

8点

建蔽率の計算

容積率の計算

6点

固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例の適用後の

譲渡所得金額の計算

譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税の合計額の計算

譲渡所得に係る住民税額の計算

6点
2021年1月

建築基準法の規定、特定居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の説明

8点

建蔽率の計算

容積率の計算

6点

特定の居住用財産の買換え特例の適用後の譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税・住民税額の合計額の計算

3,000万円の特別控除、長期譲渡所得の課税の特例適用後の譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税・住民税額の合計額の計算

6点
2020年9月

特定の事業用資産の買換え特例の説明

小規模宅地の特例の説明

8点

建蔽率の計算

容積率の計算

6点

特定の事業用資産の買換え特例適用後の

譲渡所得金額の計算

譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税の合計額の計算

譲渡所得に係る住民税額の計算

6点
2020年1月

建築物の用途制限の説明

サービス付き高齢者向け住宅の説明

8点

建蔽率の計算

容積率の計算

6点

相続税の取得費加算の特例、3,000万円特別控除、長期譲渡所得の課税の特例適用後の

譲渡所得金額の計算

譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税の合計額の計算

譲渡所得に係る住民税額の計算

6点
2019年9月

不動産所得にかかる税金の説明

固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例の説明

6点

建蔽率の計算

容積率の計算

7点

固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例適用後の

譲渡所得金額の計算

譲渡所得に係る所得税・特別復興所得税の合計額の計算

譲渡所得に係る住民税額の計算

7点
2019年5月

建築基準法の規定、バリアフリー改修工事に係る優遇措置の説明

6点

建蔽率の計算

容積率の計算

7点

特定の居住用財産の買換え特例の適用後の譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税・住民税額の合計額の計算

3,000万円の特別控除、長期譲渡所得の課税の特例適用後の譲渡所得に係る所得税・復興特別所得税・住民税額の合計額の計算

7点

3,000万円の特別控除の問題は、居住用財産の買換え特例と同時に出題されることが多く、出題回数も過去7回の試験で4回出題されていてます。

不動産譲渡所得の問題 2021年1月24日試験 応用編 《問62》

Aさんが、下記の〈譲渡資産および買換資産に関する資料〉に基づき、自宅を買い 換えた場合、次の1および2に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満 を切り捨てて円単位とすること。なお、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考 慮しないものとする。

①「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。

②「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。

〈譲渡資産および買換資産に関する資料〉

・譲渡資産の譲渡価額 : 6,000万円

・譲渡資産の取得費 : 不明

・譲渡費用 : 200万円

・買換資産の取得価額 : 4,500万円

出典:一般社団法人金融財政事情研究会 1級学科試験、1級実技試験(個人資産相談業務) なお、当サイトの管理人は一般社団法人金融財政事情研究会のファイナンシャル・プランニング技能士センター会員のため許諾申請の必要なく試験問題を利用しています。参考:技能検定試験問題の使用について

不動産譲渡所得の問題 2021年1月24日試験 応用編 《問62解答と解説》

①「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例

1. 譲渡所得の計算

60,000,000 円-45,000,000 円=15,000,000 円

15,000,000円-(60,000,000円×5%+2,000,000円)× 15,000,000円 60,000,000円 =13,750,000円

2. 所得税の計算

 13,750,000円×15%=2,062,500円

3. 復興特別所得税の計算

 2,062,500円×2.1%=43,312.5円

4. 所得税+復興特別所得税

 2,062,500円+43,312.5円=2,105,800円(100 円未満切捨て)

5. 住民税の計算

 13,750,000円×5%=687,500円

6. 所得税・復興特別所得税+住民税

 2,105,800円+687,500円=①2,793,300(円)

《解説》

納税充当金額は当期に確定した法人税を翌期の支払いに充てるために計上

確定申告の見積納税額、未払法人税の期末残高=① 8,800,000(円)

損金経理をした納税充当金=「未払い法人税等」の金額

②「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」

1. 譲渡所得の計算

60,000,000円-(60,000,000円×5%+2,000,000円)−30,000,000円=25,000,000円

2. 所得税の計算

 25,000,000円×10%=2,500,000円

3. 復興特別所得税の計算

 2,500,000円×2.1%=52,500円

4. 所得税+復興特別所得税

 2,500,000円+52,500円=2,552,500円

5. 住民税の計算

 25,000,000円×4%=1,000,000円

6. 所得税・復興特別所得税+住民税

 2,552,500円+1,000,000円=② 3,552,500(円)

〈学習のポイント〉

不動産譲渡所得の計算問題は税率を整理すること。特例を居住用と事業用とで整理することです。

譲渡所得の税率
期間 5年以下 5年超 10年超所有軽減税率の特例
居住用 所得税30% 住民税9% 所得税15% 住民税5% ⑴課税譲渡所得6,000万円以下の部分 所得税10% 住民税4%
⑵課税譲渡所得6,000万円超の部分 所得税15% 住民税5%
非居住用 所得税30% 住民税9% 所得税15% 住民税5%
居住用財産の売却で譲渡駅が出た場合の3つの特例
  3,000万円特別控除 10年超所有軽減税率の特例 特定居住用財産の買換え特例
共通適用要件
  1. 現在、主として住んでいる住宅を売却したとき
  2. 居住の用に供さなくなった日から3年を経過する年の年末までに売却した時
  3. 家屋を取り壊した場合は、上記⒉の範囲内で家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地の売却に関する契約が締結されているとき。(取り壊し後、敷地を賃貸その他の用に供した場合には不可)
  4. 転勤等で単身赴任の場合、配偶者が居住している家屋を売却したとき。(ただし、2つの家屋を所有する場合は、主たる居住用家屋に適用)
  5. 共有の居住用財産を譲渡した場合、共有者の持分の範囲内において各人ごとに適用される。
  6. 住宅ローン控除との重複適用は不可
  7. 譲渡する相手が譲渡者の配偶者や親・子など直系血族、生計を一にする親族、同族会社等でないこと。

特徴

所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円が控除されます。

要件があえば「10年超所有軽減税率の特例」と併用できます。

「特定居住用財産の買換え特例」との重複適用はできません。

所有期間が10年を超えていて課税譲渡所得が6,000万円以下の部分に対しては税率が軽減されます。

「3,000万円特別控除」と併せて適用できます

「特定居住用財産の買換え特例」との重複適用はできません。

譲渡する日の属する年の1月1日で所有期間10年超の居住用財産を譲渡し居住用財産を買換え取得する場合に適用される特例です。

3,000万円特別控除」と「10年超所有軽減税率の特例」との重複適用はできません。

特定事業用資産の買換え特例
譲渡資産:所有期間が10年を超える土地、建物買換え資産:国内にある面積300㎡以上の土地で、特定施設および建物資産が土地であるときは、取得する土地の面積が原則として譲渡した土地の面積の5倍以内であること。譲渡の前年から翌年末までに事業用資産を取得し、取得後1年以内に事業の用に供した場合に適用。
譲渡代金≦買換え代金 譲渡代金>買換え代金

⑴ 譲渡収入金額………譲渡代金×20%

⑵ 取得費・譲渡費用………(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×20%

⑶ 譲渡所得………⑴−⑵

⑴ 譲渡収入金額………❶+❷

 ❶譲渡代金−買換え代金

 ❷買換代金×20%

⑵ 取得費・譲渡費用………(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×⑴÷譲渡代金

⑶ 譲渡所得………⑴−⑵

応用編の問題を解く場合は計算過程の記載が不要な問題でも必ずノートに体裁を揃えて書くようにしています。

何回も同じような問題を同じような体裁に揃えて記載することで視覚や体で覚えることもでき、計算ミスを防ぐこともできます。それに丁寧に計算過程を書くことで少しでも部分点のアピールになればとも思います。

私が実際に使っていた用紙です。

画像をクリックすると拡大します。 注)間違っている箇所もあります(赤字)

まとめ

不動産譲渡所得の計算問題はテキストを読んだだけではわかりにくい点があります。不動産会社のサイトの中にはイラスト入りで説明があり、わかりやすく解説しているサイトもあるのでテキストだけではわかりにくい場合など参考になると思います。

私が参考にしたサイト:三井のリハウス

FP1級試験では「どっちだったかなぁ」と迷う場面が多々あります。何度も繰り返し問題を解き色々なパターンに対応できるようにしましょう。

最後まで諦めずに実力を発揮できるように頑張りましょう!

ご質問やご意見、間違っている箇所等ございましたら、コメント欄、お問い合わせページ、Twitterにてお知らせください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が、FP1級技能士試験のご参考になれば幸いです。

    Profile  

manabu

   

FP1級技能士、AFP、J-FLEC認定アドバイザー。
日本FP協会 CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞
DTP・Webデザイナー・コンサルタントとして開業や副業のコンサルティング、FP試験のサポートを行っています。
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