公開日 2025年2月18日 最終更新日 2025年2月19日
FP試験では、改正があった内容は頻出です。まだ施行されてないからといって油断していると足をすくわれます。
そこで、令和5年(2023年)から令和8年にかけて変更される、所在者不明土地の解消に向けたルールについて解説します。
財産を管理する人がいない場合、現行制度では、人単位で財産全般を管理する必要があり、土地建物以外の財産も調査・管理しなければならず非効率でした。
また、所有者が判明している場合でも、適切に管理されないことによって周辺の環境や治安の悪化を招いたり、防災対策や開発などの妨げになったりしています。
そこで、土地建物の効率的な管理を行うために、所有者が不明だったり、管理が適切にされていない土地建物を対象に、個々の土地建物の管理に特化した財産管理制度が新たに設けられました。
所有者不明土地・建物管理制度とは、調査しても所有者やその所在を知ることができない土地建物について、利害関係者が地方裁判所に申し立てることによって、その土地建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができる制度です。
管理人は、裁判所の許可を得れば、所有者不明土地の売却や取り壊しなどもすることができます。
管理不全状態にある土地・建物の管理制度とは、所有者が管理せず放置していることで他人の権利が侵害されるおそれがある、土地建物について、利害関係者が地方裁判所に申し立てることによって、その土地建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができる制度です。
管理人が、ひび割れや破損が生じている壁の補修工事や、ゴミの撤去・害虫の駆除などを行うことで、管理不全化した土地建物の適切な管理が可能となります。
いずれの制度も管理人には、事案に応じて、弁護士・司法書士・土地家屋調査士などが選任されます。
共有状態にある不動産について、所有者の所在等が不明な場合には、その利用に関する共有者間の意思決定をすることができず、公共事業や土地の活用に支障が出たり、隣接する土地へ悪影響が出るなど、さまざまな問題が発生します。
そこで、共有物の利用や共有関係の解消をしやすくする観点から、共有制度全般について様々な見直しが行われました。
共有状態にある不動産について、所有者の所在等が不明な場合には、その利用に関する共有者間の意思決定をすることができず、公共事業や土地の活用に支障が出たり、隣接する土地へ悪影響が出るなど、さまざまな問題が発生します。
そこで、共有物の利用や共有関係の解消をしやすくする観点から、共有制度全般について様々な見直しが行われました。
共有物に軽微な変更を加えるために必要な要件が緩和され、全員の同意は不要となり、持分の過半数で決定することが可能となりました。
所在等が不明な共有者がいる場合には、他の共有者は、地方裁判所に申し立て、その決定を得て、残りの共有者の持分の過半数で、共有者の中から使用者を1人に決めることができます。
また、残りの共有者全員の同意を得ることで、例えば、農地を宅地に造成することなどができます。
所在等が不明な共有者がいる場合は、他の共有者は地方裁判所に申し立て、その決定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡したりすることが可能となります。
ただし共有者が音信不通の場合、共有名義不動産の売却やその共有者が共有持分を失う行為はできません。